研究課題/領域番号 |
04454078
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤原 滉一郎 北海道大学, 農学部附属演習林, 教授 (00001503)
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研究分担者 |
中野 繁 北海道大学, 農学部附属演習林, 助手 (50217791)
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部附属演習林, 助手 (20187230)
後藤 芳彦 北海道大学, 農学部附属演習林, 助手 (20221252)
笹 賀一郎 北海道大学, 農学部附属演習林, 助教授 (70125318)
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キーワード | 森林水文 / 冬期流出 / 蛇紋岩 / 酸性雨 / 酸性雪 / 緩衝機能 / 水溶性有機物 |
研究概要 |
北海道北部の第3系山地及び蛇紋岩山地の6小流域で量水と採水を行った。蛇紋岩流域では、降水に対する流出の応答が早く、また冬期渇水流量が多い。 蛇紋岩山体の中腹部の山火事跡の無立木地で、水平に50m、斜面沿いに50mを深さ約1mのトレンチを掘り、土壌断面の観察と撒水実験を行った。B層以下では樹根跡など特異な大孔隙を除けば、水の移動は少ないとみられ、B層以下の土壌形成は、現在の気候・生物環境で行われたものとは考えにくい。撒水するとA層が飽和状態となり、A_0層下部やA層の大孔隙を通じて水の斜面に沿う移動がみられた。約20cmのA層のみが降水に対応して乾湿の変化をするが、B層以下の水の動きは少なく、また時間を要するとみられた。このことは渓流流出のパターンと矛盾しない。 降水(雨と雪)と渓流水のpH・EC・主要イオンなどの化学成分の対比を行った。天塩演習林のような農村で、近くにSO_χ、NO_χの大きな排出源のないところでも降水のpHは低く、とくに降雪の場合は最大が5.5で大部分が酸性雪である。これに対し、渓流水のpHは新第3系山地では6.8〜7.6で、融雪期に若干低くなる。蛇紋岩山地では8.4〜8.6であり、土壌層の緩衝作用は極めて大きいことを示唆している。一方、上水道水源にする場合、塩素消毒によってトリハロメタン類になる水溶性有機物の量を示す260nm紫外吸光度は、蛇紋岩山地では増水時に高い値を示し、ダケカンバの低木林・ササが大部分を占める流域よりも、アカエゾマツ林の優占する流域が高い値を示した。
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