研究課題/領域番号 |
04454080
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
芝野 博文 東京大学, 農学部(林), 講師 (00143412)
|
研究分担者 |
執印 康裕 東京大学, 農学部, 助手 (60221305)
鈴木 雅一 東京大学, 農学部, 助教授 (10144346)
太田 猛彦 東京大学, 農学部, 教授 (50134797)
|
キーワード | 水源かん養林 / 蒸発散 / 流況曲線 / 渦相関法 / 森林の成長 / トレンド / 小流域試験 |
研究概要 |
波状地形に立地する林冠上の乱流輸送を推定するために2つの試験地(東京大学愛知演習林と琵琶湖東部木之本町)で観測が実行された。一つは複合的な地形の林地で、他は完全な平坦地である。運動量(τ)と顕熱(H)の乱流フラックスは渦相関法により直接得られる。バルク法に対するこれらのデータの適合度を調べた。その結果、τから算出されたu*とUの相関については林地のデータプロットは大きくばらついたが、安定度については緊密な相関があった。しかしながら、平地のデータプロットは直線的な相関を満足した。両試験地におけるTs-TaとH/ρcpUは、林地における安定度あるいは平坦地における風速に起因するなんらかの撹乱に影響をうけるらしくおもわれる。観測されたTsと顕熱にたいする有効温度(TH)の差は森林の低い空気力学的抵抗を斟酌した本研究から推定された。バラツキ具合と安定度にたいする従属制は起伏の多い地形の森林の特性として考慮される。次に中部日本の2つの実験小流域(東京大学愛知演習林)の56年間の流量記録を用いて森林の成長とともに物理過程の緩慢な変化の効果を表現するために長期にわたる流況曲線上のトレンドを同定する試みがなされた。流況曲線上の6日目流量から220日目流量は単回帰モデルを用いた比較解析において両流域で数十年来の直線的な増加を発見した。例えば、35日流量は日流量で1mm/day、1930年代の4.6mm/dayから1980年代の5.6mm/dayの増大、を示した。曲線上の220日以降の低水期においてはトレンドは見られない。同様に、最大流量から6日目流量までの高水期においてもトレンドは見出されていない。解析の過程において、年降水量が流況曲線に及ぼす効果が表現されている。
|