研究概要 |
健全林および衰退林において調査・研究を行った。 (1)土壌の理学性に関しては、粗孔隙率が健全林で33-40,衰退林で36-40%,細孔隙率が健全林で28-37,衰退林で28-29%,透水速度が健全林で21-285,衰退林で152-350ml/minであり、衰退林に特徴的な性質を明らかにすることはできなかった。微細土壌学的分析に関しては、研究継続中であり、土壌母材が微細形態学的特徴の同定など土壌生成学的特徴を解析している。 (2)エゾマツの根の表面は形態的に両林間に著るしい差があり、衰退林分中のエゾマツの根圏微生物数は健全林分のものよりも数倍多いことが明らかになった。エゾマツ根圏微生物は、健全林分では放線菌が多数を占めているが、その他の種々の細菌も存在し、種類は多様であった。他方、衰退林分では種類数が少なく、特定の菌群のみが優占している傾向が強い。 (3)土壌動物のうち、地上徘徊性の昆虫類をトラップで捕獲したところ、健全林よりも衰退林の方が個体数が多かった。ギャップの形成によって林床の光条件が変化し、そのため土壌動物の生産活動の活性化が進行したためである。 (4)エゾマツそのものの健康度を知るために、外生菌根菌の共生を正確に知る必要がある。このため、天然林、人工林の広域にわたる調査を行い、40種の外生菌根菌を検出した。特に、エゾマツの若齢時から老齢時にかけて共生する重要な外生菌根菌として、Cenococcum graniformeとThelephora terrestrisの2種を明らかにすることができた。
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