研究概要 |
有用広葉樹の育種と造林について2年間次の課題の研究を行った。 1.ナラ類の育種に関する基礎的研究:ナラ類の開花期,雌花の受容期間,花粉の貯蔵,種間交雑,天然林の葉及び果実形態の変異などについて研究し,天然林における雑種の解明について手掛りを得た。 2.キハダの育種に関する基礎的研究:開花,受粉,花粉の発芽,人工受粉による結実,果実の発育,種子生産量,ベルベリン含有率の産地・個体変異などについて研究し,交雑及び選抜育種の基礎資料を得た。 3.コナラの人工造林に関する研究:植樹造林及び直播造林について研究した。大苗の植栽は容易で利点が多いことがわかった。 4.クヌギの人工造林に関する研究:苗木の種類,断幹造林法及び林地施肥について研究した。苗高100〜120cmの大苗の造林は成績がよかった。緩効性肥料の施肥は肥効が認められた。 5.キハダ人工林の生育調査:11年生人工林の成長は斜面下部で良く,斜面上部では不良であった。植栽方式の異なる23年生人工林では,1列植えで成長が最も早く,3列植えで劣勢被圧木が多く生じた。 6.トチノキ人工林の生育調査:12年生人工林の平均樹高は3.61m,平均胸高直径は5.7cmで,産地・系統によって生長量に差異が見られた。 7.ブナ人工林の生育調査:20年生人工林の平均樹高は5.16〜6.89m,平均胸高直径は3.4〜6.1cmで,系統間に差異が見られた。急斜地では全部が根元曲がりを生じた。 8.大山・蒜山地区のブナ林の結実調査:種子の落下数および品質は林分によって差があった。成熟種子の落下総数は229〜984個/m^2で,健全種子の割合は22〜55%であった。 9.コナラの天然更新に関する研究:皆伐地における前生稚樹の定着と成長促進には除草剤の散布,施肥,刈払いの三つの処理の併用が有効である。
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