研究課題/領域番号 |
04454086
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
千葉 喬三 岡山大学, 農学部, 教授 (10036741)
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研究分担者 |
坂本 圭児 岡山大学, 大学院櫟然科学研究科, 助手 (90205766)
山本 進一 岡山大学, 農学部, 助教授 (60191409)
吉川 賢 岡山大学, 農学部, 助教授 (50166922)
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キーワード | 都市近郊林 / マツノザイセンチュウ病被害 / 生物窒素固定 / 土壌有機物 / システムダイナミックス / 遷移 |
研究概要 |
都市域の生活環境を保全するための広域緑地として、都市近郊に賦存する森林が注目を集めつつあるが、高度経済成長期以後経済価値を失った都市近郊林は放置され荒廃の一途をたどっている。もともと都市近郊林はその立地的な特性により、極めて複雑な生態系となっており、その植生管理には従来の森林生態学の常識を摘用することができない。本研究は、環境林として都市近郊林植生の管理を行うための基礎的な知見を得る目的とした。 本年度は、主として岡山市近郊の森林を対象として、その植生動態、土壌系における窒素循環について調査研究を行った。得られた結果の概要は以下のとおりである。 (1)成長バンドによるマツ個体の直径成長を計測したところ、4つの異なる 成長タイプが確認された。マツノザイセンチュウ病に罹病するのは、その内3タイプで、ほとんど罹病しないタイプが存在することが判明した。 (2)マツノザイセンチュ病未発生林分、枯損放置林分、枯損木伐倒処理林分について、システムダイナミックスによる現地調査とシミュレーションを行ったところ、放置林分における遷移速度が高く、伐倒処理林分では遷移は10数年逆行することが判明した。 (3)バイオマスが小さい林分においては、独立栄養型の生物窒素固定が行われており、その獲得窒素が遷移を進行させるが、絶対量が少ないためその速度は低いことが判明した。 (4)ある程度遷移の進んだ林分においては、供給される植物遺体が大量の窒素固定を可能にし、一方有機態窒素の無機化も推進することが判明した。また、窒素固定支持は樹種によって大幅に異なり、樹種構成が現存植生のみならず土壌系の物質循環を通じて遷移速度をも支配することが判明した。
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