研究課題/領域番号 |
04454087
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
林産学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 正光 東京大学, 農学部, 助教授 (20126006)
|
研究分担者 |
三城 昭義 新潟大学, 農学部, 助教授 (90012004)
吉原 浩 東京大学, 農学部, 助手 (30210751)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
キーワード | 木材切削 / 高速切削 / 高速度ビデオ / 破壊形態 / みかけの剛性 / 衝撃破壊 / き裂 / 応力波 |
研究概要 |
回転刃物等による高速の木材切削においては、静的な力学理論だけでは切削理論を構築するのには不十分との観点から、低速切削と高速切削の切削メカニズムの違いを明確にすることを目的として研究を行い、以下の成果を得た。まず、切削面の形態が切削速度によってどのように異なるかを調べた。その結果、静的に切削した加工面は個々の組織の変形や、繊維方向へのき裂の発生が確認され、一方、衝撃的に切削した加工面は細胞の乱れが少なく、刃物による加工を確認することができた。すなわち衝撃的に切削した方が、静的に切削するよりも滑らかな切り口を形成することが明らかになった。つぎに、5〜70m/secの範囲の切削速度で切削できる試験装置を作成し、カンチレバー型の試験体の切削過程を高速度ビデオにより撮影、観察した。その結果、破壊ならびに切削の形態は、切削速度が低い場合には繊維方向へのき裂が進展するが、高くなるとカンチレバー部分がきれいに切断される形態へと変化した。この破壊形態の変化は、切削速度の増加に伴う被削材のみかけの剛性の増加に起因すると考えられたので、試験体の高さを変化させてみかけの剛性の変化をモデル化した実験を行なった。その結果、試験体が薄いものから厚いものに変化すると、逃げ型から折れ型へ、そして折れ型から切削型へと破壊および切削形態が変化することが分かった。すなわち切削速度による破壊過程の違いは、見かけの剛性の違いにその主因があることが判明した。これによって、仮定の正しいことが実験的に確認されたので、実際に数値解析によってこの切断過程が再現できるかどうかの研究を行った。バネと質点の線形一次元モデルによるシミュレーションで、定性的な現象が説明できるところまでいった。以上のことによって木材の高速切削の解明には、衝撃的な力が作用した際の、破壊現象を考慮に入れる必要があることが明らかになった。
|