研究課題/領域番号 |
04454095
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
柴 忠義 北里大学, 理学部, 教授 (80187385)
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研究分担者 |
神田 宏美 北里大学, 理学部, 助手 (80234160)
高松 信彦 北里大学, 理学部, 講師 (40206876)
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キーワード | SRY / HMG box / ロイシンジッパー / 2量体形成 / 転写因子 / 生殖巣 |
研究概要 |
魚類の性決定、性分化の機構解明を目的として、哺乳類の性決定遺伝子と考えられるSRYと相同性の高い遺伝子をニジマスより単離し、解析を行った。本年度は、前年度報告したニジマス精巣で特異的に発現するSRY様遺伝子であるSOX-LZの機能解析、およびニジマスの卵巣あるいは脳下垂体で発現する新たなSRY様遺伝子の単離と構造解析を行った。 1.ニジマスSOX-LZの機能解析 SOX-LZタンパク質は、その構造解析からSRYタンパク質のHMG boxと高い相同性を持つDNA結合領域と、2量体形成に関与するロイシンジッパーの2種のモチーフを有しており、転写調節因子として機能していると考えられる。そこで転写因子としての機能解析をSOX-LZおよびその変異体のタンパク質を用い、以下の点に関して行った。 (A)DNA結合活性能:SRYタンパク質が特異的に結合するAACAAT配列に対する結合活性を、ゲルシフト法によって調べた結果、SOX-LZのHMG box領域はDNA結合活性を示したが、ロイシンジッパー領域を含むと結合能力が失われることがわかった。 (B)2量体形成能:C末端に血液凝集素(HA)を付加したSOX-LZ-HAタンパク質との2量体形成を、HAに対するモノクローナル抗体を用いた免疫沈降により調べた。その結果、SOX-LZのロイシンジッパー領域が2量体形成に不可欠であることが明らかになった。 (C)転写活性化能:レポーターとしてAACAAT配列をプロモーターにもつCAT遺伝子を、CHO細胞にコトランスフェクションした結果、SOX-LZタンパク質はロイシンジッパー領域が存在するとHMG boxを介した転写活性化能が抑制されることが明らかとなった。 以上の結果から、SOX-LZのHMG boxによる転写の活性化はロイシンジッパーを介したホモダイマー形成によって失われることが示唆された。精巣におけるSOX-LZは、ロイシンジッパーを介して他のタンパク質とのヘテロダイマーを形成し、標的遺伝子の転写の活性化もしくは抑制化に働いていると考えられる。 2.新奇SRY様遺伝子の単離および構造解析 ニジマス卵巣より3種類、脳下垂体より1種類の新奇SRY様cDNAクローンを単離し、構造決定を行った。ノーザンブロット解析の結果、いずれのクローンも未成熟卵巣あるいは未成熟脳下垂体で強い発現が認められた。
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