研究課題/領域番号 |
04454095
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
柴 忠義 北里大学, 理学部, 教授 (80187385)
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研究分担者 |
神田 宏美 北里大学, 理学部, 助手 (80234160)
高松 信彦 北里大学, 理学部, 講師 (40206876)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | SRY / HMGbox / ロイシンジッパー / 2量体形成 / 転写因子 / 精子形成 / 生殖巣 |
研究概要 |
哺乳類の性決定遺伝子と考えられるSRY(Sex detremining Rigoion of Y)の転写産物は、HMGboxと呼ばれるDNA結合領域を保持しており、転写調節因子として機能していると考えられる。本研究では魚類の性決定、性分化の機構解明を目的として、ニジマスの精巣よりSRY様遺伝子(SOX-LZ)を単離し解析を行うとともに、卵巣あるいは脳下垂体より新奇のSRY様遺伝子の単離を行った。 1.ニジマスSOX-LZ (1)構造解析:ニジマス精巣のcDNAライブラリーより得られたSOX-LZ遺伝子は、その構造解析より767アミノ酸をコードする読み取り枠(ORF)を有し、ヒトSRYタンパク質のHMGboxと約60%相同性のあるDNA結合領域、2量体形成に関与するロイシンジッパー(LZ)領域およびグルタミンに富む領域の3つのモチーフを特徴としている。また、これをプローブとしてマウスSOX-LZを単離し構造比較を行ったところ、アミノ酸配列全体に渡って相同性(77%)が認められた。また上述の3つのモチーフにおいてはさらに高い相同性(各90%以上)が認められ、進化的に保存された機能モチーフであることが示唆された。 (2)mRNA発現特異性:各組織のノーザンブロット解析より、ニジマスSOX-LZは、精巣に特異的に発現が認められ、その中でも、後期精子成熟過程の精巣に強い発現が検出された。 (3)転写調節因子としての機能解析:HMGbox領域において、ゲルシフトアッセイによる塩基配列特異的DNA結合活性能、CAT遺伝子をレポーターに用いたトランスフェクションアッセイによる転写活性能、の保持を検出した。またロイシンジッパー領域において、2量体形成能を確認した。 以上に結果より、ニジマスSOX-LZは、後期精子形成過程においてロイシンジッパーを介した調節を受け、標的遺伝子の発現を促進あるいは抑制する因子として機能していると考えられる。 2.新奇SRY様遺伝子の単離および構造解析 ニジマス卵巣より3種類、脳下垂体より1種類の新奇SRY様cDNAクローンを単離し、構造決定を行った。さらにノーザンブロット解析を行った結果、いずれのクローンも未成熟卵巣あるいは未成熟脳下垂体で強い発現が認められた。転写調節因子としての機能解析および性分化との関連を詳細に調べることが今後の課題である。
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