研究課題/領域番号 |
04454099
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 英紀 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20001472)
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研究分担者 |
原田 二郎 佐賀大学, 農学部, 助教授 (00111485)
井上 京 北海道大学, 農学部, 助手 (30203235)
冨士田 裕子 北海道大学, 農学部, 助手 (50202289)
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キーワード | 湿性植物 / 高層湿原 / 泥炭地 / 気孔伝導度 / 蒸発散 / 水収支 / 乾燥化 / 水分生理 |
研究概要 |
わが国で最大の高層湿原が残されている北海道宗谷支庁管内サロベツ原野において、湿性植物群落の水収支・熱収支および水分生理特性について現地調査を実施した。今年度は高層湿原にチマキザサが侵入している最前線付近において、地下水位と泥炭土層中の水分ポテンシャルの関係について明かにするとともに、土壌水分優先する6種(チマキザサ・ヌマガヤ・ヤチヤナギ・イソツツジ・ホロムイツツジ・ハイイヌツゲ)の維管束植物を対象に蒸散特性の季節変化、日変化の特徴と微気象環境の関係を明らかにした。植物の蒸散特性の指標としては現地で実測した気孔伝導度(気孔抵抗の逆数)と葉の形状と風速の観測値から求められる葉面境界層伝導度を用いた。得られた結果は次のようにまとめられる。 1)1994年の夏、6月下旬から8月中旬にかけてサロベツ地域ではほとんど雨が降らず、この間地下水位は低下を続け、最低時には地下40cmにまで達した。しかし、植物の根系が発達する地下10cmの水分ポテンシャルは-2.1kPaで、土層中には重力水が十分残されていた。 2)7月から10月にかけて10回にわたり測定した日最大気孔伝導度の平均はヤチヤナギが0.62cm/sで最大であり、イソツツジ、チマキザサが続いた。ヌマガヤ、ホロムイツツジ、ハイイヌツゲは種間差はほとんどなく0.4cm/s程度であった。木本植物が高く湿原植物の特徴が見られたが、草本植物では一般の植物と同程度の値を示した。 3)気孔の開度が光の影響を受けていない日中の蒸散量は葉一大気湿度飽差の高い日には飽差の挙動に支配されていた。しかし、飽差が低い日は気孔伝導度の影響が大きかった。
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