ある一定量の紫外線(UV‐C Ray)照射強度(23muW)のもとで時間に長短(0‐120分)をつけて幼植物に照射したところ、その後の生育において、長時間の場合は明確な生長抑制や生育障害をもたらし、一方、中庸の場合は生長促進が認められ、短時間過ぎる場合は生長促進の程度が小さかった。長時間照射での生長障害は従来の常識的結果であるが、生長促進の方は別のことである。 葉菜の生長に対する紫外線の一時的照射の作用の形式について検討した結果、植物の生長に関するロジスチック理論における両性要因であることを確認できた。すなわち、照射時間を要因とした場合、最適な時間長が存在し、そこでは非照射区よりも生長は促進されるのである。このような、作用形式は照射後2週間程度経過した後になって現われる。 生長促進のキィーとなる点としては、葉に対する照射を行った直後から約一週間は地上部の生長抑制がどの照射時間域でもおこったこと、そしてこの時に根の活力が増大していることである。光合成速度、蒸散速度、気孔抵抗、水利用効率など整理的反応系の計測結果から、紫外線照射により、光合成と蒸散が同じ動向を示す場合と変化する場合が認められた。 紫外線照射苗の生長に対する気温(夏-秋季、冬季)の影響について検討した結果、生育時期の気温により一時的生長抑制期間の長さが違い、高温時の方が低温時より短く回復が早まること、その後の生長促進程度(非照射区に対する照射区の比)も、高温時の場合が高まることがわかった。これは温帯にある日本の栽培の地球温暖化対応で意味をもつと考えられる。
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