ある一定量の紫外線(UV-C Ray)照射強度(23μW)のもとで時間に長短(0-150分)をつけて、移植直前に幼植物に照射したところ、約30分間の照射のもとで生長は大きく、より長時間の場合は生長は劣った。すなわち、生長はUV-C Rayの照射時間の長さに応じて、抑制と促進の両方の影響を受けることがわかった。 葉菜の生長に対する紫外線の一時的照射の作用の形式について検討した結果、植物の生長に関するロジスチック理論における両性要因であることを確認できた。すなわち、照射時間を環境要因とした場合、最適な時間長が存在し、そこでは非照射区よりも生長は促進されるのである。このような、作用形式は照射後2週間程度経過した後になって現われる。 生長促進のキィーとなる点としては、葉に対する照射を行った直後から約一週間は地上部の生長抑制がどの照射時間域でもおこったこと、そしてこの時に根の活力が増大していることである。これを水耕栽培でかくにんした。すなわち、葉の抑制が生じているときに根の溶存酸素消費速度は大きく増加していた。光合成速度、蒸散速度、気孔抵抗など生理的反応系の計測結果から、紫外線照射により、水利用効率(光合成速度/蒸散速度)ははじめの1週間は低いが、その後2-3週間は非照射区に比べ大きくなった。 紫外線照射苗の生長に対する気温(夏一秋季、冬季)の影響について検討した結果、生育時期の気温により一時的生長抑制期間の長さが違い、高温時の方が低温時より短く回復が早まること、その後の生長促進程度(非照射区に対する照射区の比)も、高温時の場合が高まることがわかった。これは温帯にある日本の栽培の地球温暖化対応で意味をもつと考えられる。
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