研究課題/領域番号 |
04454107
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
酒井 裕 京都大学, 農学部, 助教授 (60089117)
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研究分担者 |
南 直治郎 京都大学, 農学部, 助手 (30212236)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70192739)
山田 雅保 京都大学, 農学部, 助教授 (10243073)
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キーワード | 雄性特異的DNA / ウシ精巣決定遺伝子(bSRY) / 雄性分化機構 / bSRY融合タンパク |
研究概要 |
雄性化を誘導する遺伝子産物の産生を支配すると考えられている雄性特異的DNAの塩基配列を決定すると共に、ウシやラットの初期発生から個体発生の過程における胚の性分化機構を胚への遺伝子導入やその遺伝子産物に対する抗体等を用いて解析することを目的とし、Y染色体に特異的に座位するウシ精巣決定遺伝子(bSRY)の全塩基配列の決定を試みた。ヒトSRYの保存領域(HMGbox)の配列の一部をプローブとしてAGPC法によってウシ精巣から精製した全mRNAを用いてRT-PCRを行い、bSRYcDNAの一部(169bp)を単離し、その塩基配列を決定した。その結果、その配列は、ヒトSRYの配列との比較において83%のホモロジーを示した。その上流領域(HMGbox外、148bp)をさらに5'RACE法で決定した結果、ヒトSRYに匹敵する領域との比較において63%のホモロジーを示した。次に、決定されたbSRYcDNA配列の中に開始コドンが含まれていることから、この決定されたbSRYcDNAをRT-PCRによって増幅した後、PCR産物を単離し、それを発現ベクターに組み込むことによって、大腸菌の中にbSRYとLacZとの融合タンパクを産生させることを試みた。IPTGで誘導した大腸菌の抽出物をSDSPAGEで展開後、抗β-ガラクトシールトランスフェラーゼ抗体を用いたウエスターンブロックティング法によってbSRY融合タンパクが合成されていることが明かとなった。今後、bSRY遺伝子の全長を明らかにすると共にその遺伝子がコードするタンパクを単離し、それに対する抗体の作製などによって精巣形成あるいは雄性化機構について検討する。 さらに、決定されたbSRYcDNAの一部の塩基配列をプローブとしてウシ胚の性判別をPCR法で行った結果、非常に再現良くしかも明確に判定できることも明らかにされた。
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