研究課題/領域番号 |
04454111
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 文昭 北海道大学, 獣医学部, 教授 (10162471)
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研究分担者 |
遠藤 大二 北海道大学, 獣医学部, 助手 (40168828)
昆 泰寛 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10178402)
林 正信 酪農学園大学, 酪農学部, 教授 (10130337)
桑原 幹典 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10002081)
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キーワード | ハイブリッド組織化学 / in situ ハイブリダイゼーション / レニン / LEC / マレック病ウイルス / マウス肝炎ウイルス |
研究概要 |
本研究は、ハイブリッド組織化学により潜伏感染ウイルスの細胞内局在を明らかにすることを意図して立案された。本年度はウイルス潜伏感染研究のための手法の改良を継続した。第一に、マウスのレニンを例にとり、ハイブリッド組織化学よる転写検出を行うとともにPCRにより遺伝子発現の定量的検出を行った。また、LECラットの染色体解析により染色体上のウイルス解析手法の確立を図った。さらに、潜伏感染ウイルスの活性化過程を研究するため、アンチセンスRNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドによるマウス肝炎ウイルスの発現抑制を試みた。これらの研究により、組織切片上での遺伝子解析と染色体上でのウイルス解析が可能となった。潜伏感染ウイルスとしてはマレック病ウイルスを用い、ハイブリッド組織化学により感染鶏内における前早期遺伝子および蛋白質の発現を解析した。本ウイルスは、感染後3-4週のリンパ球において潜伏感染が成立するといわれている。申請者等はこの時期の感染鶏のリンパ系組織より組織切片を作出しハイブリッド組織化学により一部のリンパ球における前初期遺伝子ICP4の発現を明らかにした。この遺伝子は、近縁のウイルスであるヒト単純ヘルペスウイルスで潜伏感染ウイルスの再活性化時にそのmRNAの反対鎖が転写される事が示されている。マレック病ウイルスのICP4についてもこの時期のリンパ球においてmRNAの反対鎖の転写が認められた。この知見は同時期の感染鶏より抽出したRNAを用いた生化学的な検出法によっても確認された。一方、内在性レトロウイルスの放射線照射後の活性化が報告されたC57BLマウスを終生飼育し、発生した腫瘍を病理学的に解析した。この結果組織球腫が多く認められた。内在性ウイルスの関与については観察を継続中である。これらの研究を通じて、組織中の潜伏感染ウイルスに関する重要な知見が得られた。
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