研究課題/領域番号 |
04454112
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
板倉 智敏 北海道大学, 獣医学部, 教授 (30021695)
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研究分担者 |
落合 謙爾 北海道大学, 獣医学部, 助手 (80214162)
御領 政信 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (80153774)
喜田 宏 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10109506)
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キーワード | カリキウイルス / 壊死性肝炎 / 播種性血管内凝固 / 兎の出血病 / ウイルス粒子 / ウイルス複製 / 白血球毒性 / 肝臓 |
研究概要 |
我々は韓国で自然発生した兎の出血病の肝乳剤から精製ウイルスを得た。このウイルスはネガチブ染色による形態、構成蛋白の分子量(63KDa)と、以下の細胞内の増殖過程から、カリキ(チ)ウイルスと同定された。 本ウイルスを成兎に感染させ、この肝を電顕的に観察した。その結果感染兎が死亡する頃(ウイルス接種後24時間)から、肝細胞の細胞質にウイルス粒子が認められた。ウイルス粒子を有する細胞質では、単位膜に囲まれた嚢胞、空胞および小空胞が多数形成されていた。そしてウイルス粒子は、これらの構造内あるいは周縁に、線状あるいは結晶状または類結晶状配列を示して認められたほか、細胞質に孤在しても認められた。一方、崩壊(壊死)した肝細胞にもウイルス粒子は認められた。ウイルス粒子は直径35mmで、コアとスパイク様構造を持ったカプシドで構成されていた。以上のように、ウイルス粒子は細胞質の単位膜構造と密接に関連して増殖し、これは猫のカリキウイルス感染で観察されている増殖パターンと酷似していた。また、肝細胞の壊死はウイルスの直接的影響によって生じることが示唆された。 次に、本ウイルスの毒力が極めて強いことは本病の疫学から示唆されてきたことである。これは本ウイルスが急性壊死性肝炎を引き起こすことによるものであった。この肝炎はウイルス接種後23時間から生じ、ウイルスを接種された兎は接種後90時間頃までには100%致死した。肝炎を形態学的に解析した結果、先に記載したようにウイルスの直接的影響に加え、白血球の細胞毒性によっても肝細胞壊死の生じる所見が得られた。また、本ウイルスが示す病変の1特徴として、播種性血管内凝固(DIC)もあった。このDICはウイルスを接種した兎の血液学的検査によっても証明された。
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