特異抗体の作成:ヒツジのPrPコアフラグメントのN末端及びC末端領域のマウスのそれとアミノ酸置換のある部分の合成ペプチドに対する抗体を作成したが、予想に反し何れもマウスPrPと高く反応した。このため第3の領域の合成ペプチドおよび精製ヒツジPrP^<SC>を用意し、ウサギ接種と同時にモノクローナル抗体のためマウス接種を行い、免疫が進行中である。 ウシPrP遺伝子発現L細胞の培養:正常PrP遺伝子発現細胞は低血清下で培養しても僅かに増殖を続けた。変異PrP遺伝子2種の発現細胞は核周辺のPrPが蛍光抗体法によって粗大顆粒状を呈していた。これらの細胞は凍結保存後何れも回復しなかった。再構築した変異遺伝子を用いて発現細胞の樹立を試みたが、2回のクローニングの時点で消失し、導入した遺伝子が再編成されていた。再度樹立を試みている。 病原体感染細胞:ウシPrP遺伝子発現L細胞にマウス病原体を感染させ、継代毎およびクローニングしたもののPrP^<SC>の産生及び感染性を検討している。適当な抗体がまだ用意できないこともあってPrPの種を決定できないでいる。また感染価は継代毎に低下したが、クローニングしたものも感染性を保持してることから、僅かながら複製のあることが判った。 他種細胞によるPrP発現細胞の樹立:導入PrP遺伝子発現の安定性はプロモーターが関与していること、細胞種が適当でないこと等の可能性が考えられる。このため、安定に導入遺伝子を発現し、病原体の複製の良好な細胞を作成するために、プロモーターの検討と共に、マウスL細胞以外の細胞、神経芽細胞腫あるいはクロム親和性細胞腫などに遺伝子を導入したものの作成を行っている。
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