1、牛及び羊に特異なモノクローナル抗体を作製することが出来た。この抗体を用いた予備的な試験として羊PrP^Cをアフィニティークロマトグラフィーで精製したところ単一のバンドとして得られた。しかし分子量の点で若小干さいため検討している。また本抗体で牛PrP発現細胞を蛍光染色したところ陽性の結果が得られた。 2、PrPの自然プロモーターの分離・解析を行い、牛PrP遺伝子の5'非コード領域は2つのエクソンから、合計3つエクソンから成りたち、エクソン1と2の間におよそ2.5kbのエクソン2とコード領域を含む3の間に14kbの印と論が存在することが明らかになった。プロモーター活性はエクソン1の上流のみならずエクソン2の上流にも検出された。エクソン1の上流にはTATAbox様配列は無く、GCに富んだ配列が見られた。このことはPrP遺伝子がハウスキーピング遺伝子であることを示唆している。 3、牛PrP遺伝子を導入し、発現するL細胞にマウスSAFを感染させたと同様に羊SAFを感染させた成績が得られた。マウスの場合と同様に複製を十分支持しなかった。接種マウス数が6匹と少ない所為もあり統計的に有意ではなかったが、L細胞に比べ牛遺伝子の入った細胞の方が感染価は若干高い傾向が見られた。現在牛変異遺伝子発現細胞にマウス及び羊SAFを感染させ、経時的にマウス接種を行い観祭している。 4、PrP^CからPrP^<Sc>に変わる機構を解析する一手段として、先ずPC12細胞の表面を^<125>Iで標識し、特異抗体を用いた免疫沈降でPrP^Cが検出できないか検討したところ、過酸化水素を触媒として用いて標識すると検出されるが細胞が死滅することが判り、より温和な方法を検討している。
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