研究課題/領域番号 |
04454117
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
太田 光明 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (20134504)
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研究分担者 |
木曾 康郎 大阪府立大学, 農学部, 助手 (10142374)
塩田 昌一 大阪府立大学, 農学部, 講師 (10137242)
松田 浩珍 東京農工大学, 農学部, 助教授 (80145820)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | 高血糖 / 低血糖 / インシュリン / アミリン / 高吸水性ポリマー / カテコールアミン / 視床下部 / セロトニン |
研究概要 |
膵臓ランゲルハンス島(膵島)からのインシュリンおよびアミリン分泌の多様な制御系のうち、神経支配に焦点を当て、i)膵島からのアミリン分泌の調節は、インシュリンなど他の代謝調節ホルモンと明らかに異なった中枢性の調節・支配を受けること、ii)高吸水性ポリマーを用いる独自の脳内操作によって作出した高血糖ラットに見られる高い未梢血中カテコールアミンレベルは、交感神経系の活性化の結果であること、iii)この末梢交感神経活性の上昇は、視床下部特定領域のセロトニン作働性神経系の興奮によること、iv)血中アミリンレベルの操作の結果、アミリンは末梢カテコールアミンによるインシュリン非依存性糖代謝を抑制することなど、多くの新事実を明らかにしたのち、当該年度には、新たに、下記の新知見を見いだした。 i)膵島B細胞を特異的に破壊するストレプトゾ-トシンによって作出した高血糖ラットを用い、マイクロダイアリシス法による視床下部特定領域を微小透析したところ、古典的神経伝達物質のうちノルエピネフリンのみの明らかな低下が見られ、逆にインシュリン負荷による低血糖ラットでは、ノルエピネフリン濃度の顕著な増加が見られた。ii)骨格筋灌流法を用いて、脳内操作による高血糖ラットにおけるアミリンの作用機序を検討したところ、アミリンの糖取り込み抑制は高濃度のカテコールアミン存在下で強く発現することを明らかにした。 つまり、いわゆる神経起源の高血糖状態は、視床下部特定領域のセロトニン作働性神経活性の上昇および未梢交感神経系の興奮の結果であること、そして視床下部特定領域のノルエピネフリン作働性神経活性の低下をもたらし、このときアミリンは、カテコールアミンによるインシュリン非依存性糖代謝を抑制することがわかった。これらの新知見は、代謝病としての糖尿病を、神経生理・病理学的側面から捉え直す必要性を提起している。
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