研究概要 |
化学物質の連続投与により筋力低下が発現する可能性とこれにおよぼす内因性因子の影響を調べた 1 胸腺におよぼすthyroxine連続投与の影響 Thyroxine(TRX,266μg/g.b.w/day)を2ヶ月間連続投与したddy系両性マウスの胸腺重量を測定した。雄性マウスでは対照群と有為な差を認めなかったが、雌性マウスの胸腺重量は有意に増加した この成績はTRXが持つ胸腺肥大作用には性依存性のあることを暗示し、筋無力症が女性に多いこととの関連を示唆しており興味深い。特製の考案による筋力試験法で調べたところ、TRX2ヶ月間単独連続投与の影響と思われる筋力低下を認めなかった。 2.筋力試験におよぼすD-penicillamine(D-PEN)連続投与の影響。雌性マウスにD-PEN(200μg/g.b.w/day)を2ヶ月間連続投与した。D-PENの影響と思われる筋力の低下を認めなかった。 3.TRX投与下の筋力におよぼすD-PEN前投与の影響。雌性マウスにあらかじめ1ヶ月間D-PENを投与し、次の1ヶ月間TRXを投与した。このマウスではTRX投与により腹水の貯留が認められると共に、筋力試験において有意な筋力の低下を認めた。4.D-PEN投与下の筋力におよぼすTRX前投与の影響.雌性マウスにあらかじめ1ヶ月間TRXを投与し、次の1ヶ月間D-PENを投与した。このマウスでは腹水の貯留が認められず、また筋力試験において有意な変化も認めなかった。5.筋力低下を示すマウスの免疫学的試験.実験を続行中に釧路沖地震により動物飼育棚が倒れ、試験中のマウス群が分散したため個体識別が不可能となった。別の群の試験マウスにも被害が生じた。該当マウスは全て殺処分し、新たに試験を再開した。6.TRXの作用の性依存性について確認試験を行うなうため、去勢雄性マウスにおける再現試験を続行中である。
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