研究概要 |
平成5年度の研究実施計画に基づいて検討し、以下の結果を得た。 1.ザルコシステス原虫の代謝特性の解析ならびに種の分類(小野・鈴木):4種のザルコシステス原虫(S.arieticanis,S.ovicanis,S.capracanis,S.hircicanis)スポロゾイトを前年度に検討して得た至適条件でexcystationさせ、さらに至適条件下でDE-52 celluloseカラムを用いて精製・分離した。得られたスポロゾイトをトリス塩酸緩衝液(0.05M,pH8.0)で洗浄した後、凍結・融解を3回繰り返し、さらに超音波破砕(250W,2min)した。ついで、遠心分離(50,0,000g,30min)し、得られた上清をスポロゾイト可溶成分とした。これらの検体について16種の解糖系酵素活性を測定したところ、Lactate dehydrogenase(LDH),Malate dehydrogenease(MDH),ならびにGlucose-6-phosphate dehydrogenase(G6PD)の活性が認められた。ついで、Native-PAGEによる電気泳動法によりこれら酵素のアイソザイムパターンを検討したところ、LDHでは、いずれも単一のバンドとして認められたが、その移動度は異なっていた。すなわち、S.ovicanisならびにS.capracanisは他の2種に比較して陽極側に位置した。また、MDHにおいてもS.ovicanisならびにS.capracanisは他の2種に比較して多数のバンドから構成されていた。さらにG6PDにおいてもこの2種は他の2種と異なった移動度を示した。 2.ザルコシステス原虫の抗原特異性の解析ならびに種の分類(松木):分離・精製したスポロゾイト膜蛋白についてウエスタンブロット法により感染動物血清の特異抗原の検出を試みたが明らかな差異を認めることは出来なかった。 3.形態学的検討(中山):4種について各種条件によるexcystationの際の変化を検討したところ、とくに種間に差異は認められなかったが、各種処理、とくに過塩素酸処理に対してcysto-wallに形態的な差が観察された。
|