研究分担者 |
松木 直章 東京大学, 農学部, 助手 (40251417)
中山 裕之 東京大学, 農学部, 助教授 (40155891)
河野 迪子 東京大学, 農学部, 助手 (70092202)
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
鈴木 直義 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10003071)
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研究概要 |
ザルコシステス原虫の種間の代謝特性について解糖系の酵素に着目し,そのアイソザイムパターンなどによる分類ならびに種間の形態学的な差異および抗原特異性について平成4〜5年度の2年間にわたり検討した。まず4種のザルコシステス原虫(Sarcocystis arieticanis,S.capracanis,S.hircisanis,S.obicanis)についてexcystationの条件ならびに遊出させたスポロゾイトの分離精製法について検討したところ,ザルコシステス嚢子のin vitroにおけるexcystationは室温で6〜8%の過塩素酸と反応させた後,水洗し,ついで牛の胆汁を含むRPMI-1640培養液で39℃1時間培養した後,さらに超音波処理する方法が最もスポロゾイトの遊出が高いことが判った。またシスト嚢子は約30ヶ月保存した場合でもスポロゾイトの遊出率に差は認められず,極めて長期にわたって感染症を有するものと考えられた。またスポロゾイトの分離精製は1%糖添加リン酸緩衡液で平衡化したDE52セルロースカラムを用いて,RPMI-1640でexcyctation溶液を溶出する方法が優れていることが伴った。得られたスポロゾイトを凍結融解,超音波破砕した後,遠心分離して得た上清(スポロゾイト可溶成分)について16種の解糖系酵素活性を測定したところLatate dehydrogenase,Malate dehydrogenase,Glawrs-6-phosohate dehydrogenaseの活性が認められた。それら酵素のアイソザイムパターンは4種間でその移動度あるいはバンド数が異っており,遺伝子レベルでこれら4種間が異なる可能性が示唆された。同様にして得たスポロゾイト膜蛋白を可溶化し,感染動物血清中抗体に対する膜特異抗原の検出を試みたが,4種間で著明な差異を認めることは出来なかった。一方,各種条件下のexcystationの際の4種間における形態学的変化を観察したところ,とくに種間に差異は認められなかったが,各種処理,とくに過塩素酸処理に対してcysto-wallの膨化などが引き起されることが判った。
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