研究課題/領域番号 |
04454124
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
藤田 恒夫 新潟大学, 医学部, 教授 (00032863)
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研究分担者 |
桑原 厚和 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60142890)
金澤 寛明 新潟大学, 医学部, 助手 (40214431)
岩永 敏彦 新潟大学, 医学部, 助教授 (10160128)
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キーワード | 腸クロム親和細胞 / セロトニン / VIP / 下痢 / 傍分泌 |
研究概要 |
1.腸クロム親和細胞(EC細胞)とVIP神経の組織化学的検討 腸の分泌に関係する細胞要素としては、EC細胞とVIP含有神経が最も重要である。両者の分布および相互の位置関係を免疫組織化学により、ラットの腸管で検討した。セロトニンを含有するEC細胞は、十二指腸から直腸まで出現した。とくに、消化が完了し糞塊となったものだけが通過する肛門管にもEC細胞が多数存在していた。EC細胞の広範囲の分布は、この細胞が腸管のどこにでも起こる普遍的な現象に関与することを示している。また、VIP神経も腸管のペプチド性神経の中では最も広く分布する神経である。セロトニンとVIPの二重染色の結果は、EC細胞とVIP神経が密接な位置関係にあることを示した。 2.セロトニンとVIPが分泌に及ぼす作用 イヌの十二指腸を用いたin vivoの生理実験で、セロトニンとVIPは腸の分泌を著しく増加させた。VIPの作用はセロトニンのそれより長くつづき、効果も強かった。また、両方を同時に投与するか、セロトニン投与後VIPを続けて投与すると、分泌は飛躍的に増加した。その際の分泌量は、激しい下痢が起きた時と同程度であった。セロトニン投与により門脈中のVIP濃度が増加するという事実と併せて考えると、下痢は、EC細胞から分泌されたセロトニンが近傍のVIP神経に局所ホルモンとして作用しVIPの放出を招く結果、セロトニンとVIPの相乗効果により腸分泌が強く刺激された状態と理解される。
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