研究概要 |
1.ランヴィエ絞輪の再生芽は損傷3時間という早い時期から見られた。再生芽は膜の裏打ちの消失した部分から出て,髄鞘と基底膜との間隙を伸びた。再生芽には多数の小胞が含まれることが特徴である。 2.絞輪からの発芽は細胞体の関与しない局所的な反応であることを示した。すなわち細胞体との接続を絶っても再生芽は形成される。損傷によってCaイオンが流入して蛋白分解酵素が活性化されると考えられる。 3.絞輪に形成される再生芽にはシナプトフィジンの免疫組織学的活性が特に強いことを明らかにした。これは再生芽内にシナプス小胞の性質を持った小胞があり,開口分泌によるメカニズムで表面形質膜を付加する可能性を示唆するものである。 4.運動神経終末に蛋白キナーゼCのβサブタイプが存在していることを共焦点レーザー顕微鏡と電顕免疫組織化学で示した。同様に筋紡錘の知覚終末にもくキナーゼサブタイプ(α,β,γ)が局在していることを明らかにした。 5.運動神経終末のアクティブゾーンにRab3Aが局在していることを明らかにした。さらにシナプス小胞にRabphilin3Aが局在していることを示した。シナプス小胞の開口分泌の機序を解明するものである。 6.再生軸索が神経接合部を再支配する経過をPGP9.5の免疫組織化学を用いて詳しく観察した。 7.上記の所見はすでに論文として発表しているが,この他にシナプトタグミンとシナプシンエが成長円錐に含まれること,N-カドヘリンが軸索と軸索あるいは軸索とシュフン細胞の接触部に発現し,インテグリンのαサブユニットが培養神経の表面膜に発現することを明かとした。これあの所見は近い将来論文として発表する予定である。
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