1.嗅細胞新生の経時的変化 (1)成熟ラットの一側嗅球を吸引除去した。 (2)嗅球除去後1〜20日目に大伏在静脈を露出した。 (3)5-Bromodeoxy uridine(5-Brdu)を静注した。 (4)5-Brdu静注後、2時間動物を生かし、4%パラフォルムアルデヒドで還流固定した。 (5)5%蟻酸で脱灰後、鼻粘膜の前額断凍結切片を作製した。 (6)塩酸にてDNAを単鎖化した後、抗5-Brdu抗体を用いて免疫組織化学的検索を行った。 以上の実験により、5-Brdu陽性細胞は嗅粘膜上の基底細胞であり、嗅球除去後1日目から基底細胞の分裂が始まり、嗅球除去後4日目に分裂細胞数は最大に達し、この分裂は嗅球除去後8週間続くことが判った。したがって、組換え体レトロウィルスは嗅球除去後4日目に投与すれば、感染効率が最も良いと類推された。 2.ラットへのウィルス接種 (1)pZip-CAT vectorを組み入れたMoloney Murine Leukemiaウィルスを作製し、凍結保存した。 (2)麻酔下で成熟ラットの一側嗅球を除去し、術後4日目に再度麻酔した。 (3)嗅球除去側の外鼻孔に細管を導入し、嗅粘膜に向けウィルス液を微量注入した。 (4)ウィルス接種後1週経て動物を4%パラフォルムアルデヒドにて還流固定した。 (5)嗅粘膜を含む組織塊を脱灰し、凍結前額断切片を作製した。 (6)抗CAT抗体を用いて免疫組織化学的検索を行った。 ウィルスの投与法を変えたり、鼻腔へ消化酵素を流したり、アトロピンを投与したり、様々の試みを行い感染に弱くなるよう試したが、CAT陽性の嗅細胞を見出すことは出来なかった。
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