研究概要 |
1.レトロウイルスへの外来遺伝子の導入 Moloney Murine Leukemia Virus(Mo-MuLV)を用いてpZip Neo SV(X)1に Chloramphenicol acetyl transferase(CAT)geneを挿入し、pZip-CAT vectorを作製した。Helper virusの助けを借りて、packaging signalを欠いたψマイナスであるψ^-cellにCa_3(PO_4)_2法を用いてCAT vectorを組み入れた。Neo^Rを利用し、Neomycin培地にてvirus producing cell lineを選別し、producing cellを凍結保存した。 2.外来遺伝子組み換えウイルスの濃縮 凍結保存されたvirus producing cellを100mm dishにまき、37℃で培養し、3-7日後、trypsin処理により回収後、100mm dishを10ケに増し、virus producing cellを増殖した。上澄みのみを集め遠心後、上澄みのみを集め超高速遠心し、上澄みを除去後除去された上澄みの約1%量のmediumを加えpipetingを行い、filterにて瀘過し凍結保存した。 3.ウイルス産生細胞の免疫組織学的検定 virus producing cellをカバーガラス上にて培養し、4%パラフォルムアルデヒドにて固定し一次抗体、二次抗体と順に滴下した。次にABC(Vecterstain)液を滴下し、DAB,H_2O_2にて発色した。検鏡した結果、CAT陽性細胞を確認した。 4.ウイルス感染の免疫組織学的検定 カバーガラスにNIH3T3細胞を培養し濃縮したウイルスを加え、neomycinを追加し、さらに2日間培養した。免疫組織化学法を行い、検鏡した結果、CAT陽性細胞を確認した。 5.組換えvirusをラット20匹に接種実験を行った。接種後、経時的に動物を固定し、嗅粘膜を脱灰し、切片を作製した。抗CATを用いて免疫組織化学法にて検索したが、CAT陽性細胞は見られなかった。作製されたvirus producing cell lineが低いのか、virusのenv geneの感染力が低いのか、今後の問題である。env geneを代えるのは危険であるため、titerの高いvirus producing cell lineの作製が要求された。 6.最後に、転任に伴い、設備品の発注、納入が大幅に遅れ、研究は未だ再開できず、研究計画は大幅に遅延した。
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