研究課題/領域番号 |
04454135
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 治正 東京大学, 医学部(医), 助教授 (40134283)
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研究分担者 |
高橋 國太郎 東京大学, 医学部(医), 教授 (10010034)
見学 美根子 東京大学, 医学部(医), 日本学術振興会特別研
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キーワード | 神経誘導 / bFGF / 情報伝達 / アフリカツメガエル / プロテインキナーゼC / スタウロスポリン |
研究概要 |
申請者らはこれ迄に、ツメガエル初期嚢胚細胞のミクロ培養系を用いて、神経誘導過程の細胞・分子機構を解析してきた。特に前年度本研究により塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)が生理的有効濃度範囲で嚢胚背側中胚葉細胞の神経誘導作用を代行し、未分化外胚葉細胞から中枢神経系ニューロンと末梢性の神経冠系統の色素細胞の両者を誘導分化させる事を明らかにした。更にニューロン、色素細胞のどちらが誘導されるかは、培養した外胚葉細胞の発生段階により異なり、嚢胚初期の外胚葉細胞からはニューロンが、中期の外胚葉細胞からは色素細胞が誘導される事も示した。本年度は引続き以下の諸点を明らかにした。 (1)bFGFに対する外胚葉細胞の反応性の、発生段階による変化は、外胚葉細胞自身の内部で自律的に進行するものである事。即ち初期嚢胚から単離した外胚葉細胞をミクロウエル内で様々な時間(0-4時間)培養した後、bFGFを添加したところ、0時間添加対照でニューロンが分化したものが、添加のタイミングを遅くするのに従って色素細胞が分化するように変化していった。しかもその変化の時間経過は、in situで外胚葉を発生させた場合のそれと非常によい一致を示した。 (2)bFGFにより外胚葉細胞からニューロンが分化する場合と、色素細胞が分化する場合とではbFGFの細胞内情報伝達機構が異なっている事。bFGFは繊維芽細胞においてはPI応答を介してprotein kinase C(PKC)を活性化し、さらにこれが遺伝子発現の調節につながる事が知られている。そこで背側中胚葉細胞またはbFGF存在下で培養した外胚葉細胞に、スタウロスポリン等のPKC阻害剤を投与したところ、ニューロンの分化には影響を与えないが、色素細胞の誘導分化を濃度依存的に抑制する事が明らかになった。また培養開始後1時間以上経過後にPKC阻害剤を投与した場合には抑制効果がみられない事から、色素細胞分化は誘導刺激後早い段階でPKC活性化を必要とするという事ができる。
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