研究課題/領域番号 |
04454139
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
久場 健司 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (60080561)
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研究分担者 |
能見 光雄 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (80117209)
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キーワード | 細胞内Ca^<2+> / Ca^<2+>誘起性Ca^<2+>遊離 / Ca^<2+>電流 / ウサギ耳神経節細胞 / ウシガエル交感神経節細胞 / cyclic ADP-ribose / ミトコンドリア / サイクロスポリンA |
研究概要 |
今年度は、2つの新しい細胞内Ca^<2+>遊離機構に関する新事実が明らかになった。第1に、培養ウシガエル交感神経節細胞のライアノジン受容体Ca^<2+>遊離チャネルによるCa^<2+>誘起性Ca^<2+>遊離は、生理的条件下では、10Hz、100個以上の活動電位によるCa^<2+>流入によって細胞膜直下でのみ活性化されるが、深部には伝播しないこと、更に、NAD^+から産生されるcyclic ADP-riboseによりその活性化が促進され、活動電位によるCa^<2+>誘起性Ca^<2+>遊離が細胞質全体に伝播することが明らかになった。従って、このCa^<2+>遊離チャネルは細胞外からのCa^<2+>流入量や、膜電位のみならず、内因性のcyclic ADP-riboseにより制御されることになる。第2は、培養ウサギ耳神経節細胞で、細胞外液のCa^<2+>濃度が0.1mM以下になると細胞外からの少量のCa^<2+>流入によって活性化されるミトコンドリアからのCa^<2+>遊離機序の発見とその分析である。高K^+液(30〜60mM)による細胞内Ca^<2+>濃度の上昇は、外液のCa^<2+>濃度を0.1mM以下(〜30muM)に減少しても、その振幅は正常外液Ca^<2+>濃度下での応答と同等か少し小さい程度で、ライアノジンで抑制されず、細胞膜Ca^<2+>チャネル阻害剤であるNi^<2+>や、ミトコンドリアの脱共役剤やミトコンドリアのメガチャネルの阻害剤であるサイクロスポリンAにより完全に消失する。従って、外液のCa^<2+>濃度減少により、静止時の細胞内Ca^<2+>濃度が低下し、ミトコンドリアのサイクロスポリン感受性のメガチャネルが脱不活性化され、この状況下で、K^+による脱分極により流入したCa^<2+>によるわずかな細胞内Ca^<2+>濃度の上昇の結果、ミトコンドリア内のCa^<2+>濃度が上昇し、これによりメガチャネルが活性化され、Ca^<2+>遊離が起こることが示唆される。
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