研究課題/領域番号 |
04454146
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
山下 博 産業医科大学, 医学部, 教授 (00030841)
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研究分担者 |
長友 敏寿 産業医科大学, 医学部, 助手 (50258604)
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 助手 (10232745)
稲永 清敏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
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キーワード | 遺伝多飲マウス / 免疫異常 / ラットアジュバント関節炎 / c-fos蛋白 / バゾプレッシン |
研究概要 |
免疫異常動物を用いた免疫系と神経・内分泌系連関の研究を行なった。 遺伝多飲マウスは1950年代に発見された多飲と多尿を特徴とするマウスで、脳内のオピオイド系、バソプレッシン系やアンギオテンシン系など中枢神経の異常によって多飲が起こっている可能性を報告してきた。このマウスは元来、癌の自然発症のモデルを作成しているときに、偶然出来たマウスであり、このマウスの免疫機能に異常が予想された。免疫系を評価し、また免疫系の主要な調節系である視床下部・下垂体・副腎皮質系を調べ、このマウスでの神経・内分泌・免疫連関について検討した。その結果、遺伝多飲マウスではコントロールのICRマウスに比してヘルパーT細胞/サプレッサーT細胞の比が低く、またT細胞マイト-ジェンであるコンカナバリンAに対する増殖反応性が低かった。無処置あるいは拘束ストレス下で血漿ACTHとcorticosteroneの反応性はコントロールマウスと同じであり、このマウスで認められた免疫系の異常は視床下部・下垂体・副腎皮質系以外の神経・内分泌系の異常により惹起されている可能性が示唆された。 ラットアジュバント関節炎発症時の中枢神経系の反応を起こしている免疫組織から中枢神経系へのシグナルとその伝達機構の解明のために、脳内でのc-fos蛋白の発現について検討した。その結果脳室周囲器官である終板器官、孤束核や視床下部(内側視索前野、室傍核など)にc-fos蛋白の発現が認められ、その発現の時間経過は、発熱、摂食、飲水行動の抑制、視床下部・下垂体・副腎皮質系の活性化の時間経過と良く一致した。次に神経内分泌系のアジュバント関節炎発症への関与について検討した。バゾプレッシン拮抗剤腹腔内投与により、関節炎はわずかではあるが有意に抑制され、発症前より高値を示す血漿バゾプレッシンが関節炎の増悪因子となっている可能性が示唆された。
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