研究課題/領域番号 |
04454151
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
渋谷 健 東京医科大学, 医学部, 教授 (20074479)
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研究分担者 |
武田 弘志 東京医科大学, 医学部, 講師 (70206986)
渡辺 泰雄 東京医科大学, 医学部, 助教授 (70183720)
佐藤 勝彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (00133372)
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キーワード | 神経細胞内Ca^<2+> / Ca拮抗薬 / GABA-ペプチド誘導体 / methamphetamine誘発行動亢進 / 培養小脳顆粒細胞 / GABA受容体 / dopamine放出阻害 / 中枢作用薬検定 |
研究概要 |
中枢神経細胞内へのCa^<2+>流入の主な調節機構に作用点を有する薬物は高次脳機能障害の発症を予防あるいは阻止することが予測される。本研究は、新規細胞内Ca^<2+>モジュレーターとしてGABA-peptide誘導体を3種合成して培養脳神経細胞での細胞内Ca^<2+>([Ca^<2+>]i)量の異常増加に対する抑制効果を検索した。さらに、methamphetamine(MAP)誘発による運動量異常増加に対する抑制効果から新規GABA-peptide誘導体の中枢作用を考究した。得られた成績を要約して考察すると、1)各誘導体の50mMKCl誘発[Ca^<2+>]i量の増量に対するPLG、PSLGあるいはPDSLGの50%阻害濃度は、PLGでは約1.8muM、PSLGでは約3.2muM、PDSLGでは約4.6muMであった。これらの阻害効果を従来のCa拮抗薬と比較するとnicardipineやflunarizineとほぼ同程度の効力であり、diltiazem、verapamil、nifedipineよりも10倍以上強力であった。2)Glu誘発の[Ca^<2+>]i増量に対するPLGおよび新規GABA-tripeptide誘導体は脳神経細胞における[Ca^<2+>]i量の異常増量に対し抑制作用を有することが明らかとなった。3)扁桃殻あるいは尾状核被殻いずれの部位にvehicleを投与した対照群の総数は約6200countsであった。一方、GABA-peptide群は尾状核被殻投与群はいずれも明らかな用量依存的な抑制が認められ、540nmol投与群はいずれも45%以上の阻害効果が得られた。扁桃核に誘導体を投与した群においても用量依存的な抑制効果が確認され、540nmolの用量はPLGで約35%、PSLG、PDSLGで約25%程度の抑制が観察された。PLGは両脳部位投与群において、MAP誘発自発運動量亢進に対する阻害効果の相違は認められなかった。しかしながら、PSLGあるいはPDSLGの尾状核被殻への投与群と、扁桃核への投与群におけるMAP誘発自発運動量亢進に対する阻害効果を比較すると、尾状核被殻への投与群の方が、抑制効果は強かった。付記するに、GABAの脳内投与群は、いずれの部位においても27000nmolの投与量で25-30%の阻害効果が認められ、両部位への投与群との間に差異は見られなかった。すなわち、GABA-peptide誘導体であるPSLGあるいはPDSLGは酵素による分解が受けにくく、しかも、GABAより50倍以上強い中枢性薬理作用を有していた。以上の成績から、PSLGおよびPDSLGの脳内における薬理効果は、PLGと比較して、より部位選択性の高いことが示唆され、新規高次機能障害治療に有効であると考えられた。
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