研究課題/領域番号 |
04454156
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
片岡 徹 神戸大学, 医学部, 教授 (40144472)
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研究分担者 |
片岡 有里子 神戸大学, 医学部, 助手 (50233739)
鈴木 昇 神戸大学, 医学部, 助手 (00202135)
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キーワード | アデニル酸シクラーゼ / 出芽酵母 / シクラーゼ結合蛋白質 / CAP / rasがん遺伝子 / ras蛋白質 / cAMP / GTP結合蛋白質 |
研究概要 |
研究はほぼ計画通り進行している。出芽酵母アデニル酸シクラーゼの結合蛋白質の一つ70kDaのCAPのras蛋白質とシクラーゼの相互作用上の意義を検討した。 1.従来、CAPのアミノ末端部はras蛋白質とシクラーゼの相互作用を仲介するとの仮説があったが、CAP遺伝子破壊実験を行った結果、上記仮説は完全に否定された。 2.アデニル酸シクラーゼ全域にわたる詳細な人為的変異導入実験により、シクラーゼ分子上のCAP結合部位をカルボキシル末端150アミノ酸内の特定のアミノ酸配列を特つ領域にマップした。 3.上記実験で同定したCAP結合部位のみを活性型ras2^<Val19>を持つ酵母内で過剰生産したところ、活性型ras2による異常な表現型が抑制された。これは過剰生産されたCAP結合部位が、内在性シクラーゼからCAPを競合的に奪う事によっていた。 4.2で作製したCAPを結合しないアデニル酸シクラーゼ変異体はras蛋白質との試験管内での反応性には変化がなかった。更にin vivoでのCAPの機能を解析する為に、染色体上シクラーゼ遺伝子をCAP非結合型変異体で置換した株を作製した所、同株は活性型ras2^<Val19>遺伝子存在下でも異常な形質をすべて失って正常に戻っており、グルコース刺激依存性のcAMP上昇を調べても全く正常であった。この結果は、エフェクターの結合蛋白質を解離させる事により、ras蛋白質との反応性を保持したままで、活性型rasの作用を抑制できることを示す、この現象の機構については、CAPのカルボキシル末端の機能(アクチン結合活性を持つと推測されている)と考えあわせて、アデニル酸シクラーゼのフィードバック調節が関与していると推測し、現在解析中である。 5.他のシクラーゼ結合蛋白位80kDaと15kDaのものについては、80kDaのものは充分量精製し、現在アミノ酸配列を決定中である。15kDaのものは現在精製中である。
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