研究課題/領域番号 |
04454156
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
片岡 徹 神戸大学, 医学部, 教授 (40144472)
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研究分担者 |
片岡 有里子 神戸大学, 医学部, 助手 (50233739)
鈴木 昇 神戸大学, 医学部, 助手 (00202135)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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キーワード | アデニル酸シクラーゼ / シクラーゼ結合蛋白質 / 出芽酵母 / リボゾーム蛋白質質 / サイクリックAMP / Ras蛋白質 |
研究概要 |
Ras蛋白質のエフェクターである出芽酵母アデニル酸シクラーゼは高分子量の複合体を構成している。複合体の構成蛋白質として分子量7万のCAPと分子量5万のp50という二つのシクラーゼ結合蛋白質を同定し、その構造と機能を解析した。 1.CAPに関しては、その構造及び遺伝子破壊実験の結果より、アミノ末端部分はシクラーゼとの結合に必要で出芽酵母Ras-シクラーゼの調節に関与し、カルボキシル末端部分は哺乳動物のアクチン結合蛋白質ASP-56に相同で、細胞骨格の調節の他に、栄養源の飢餓や過剰に対応した細胞増殖の調節機構に関与すると考えられた。更に、アデニル酸シクラーゼ上のCAP結合部位を詳細に解析してカルボキシル末端の小領域にマップし、それに基づいて作製したCAP非結合型シクラーゼ変異体を利用してCAPの機能を解析した。その結果、CAPがシクラーゼに結合する事は、シクラーゼとRas蛋白質との相互作用自体には影響がなく、野生型Ras蛋白質のin vivoでの機能にも影響がないが、活性型変異を持つRas蛋白質による異常な形質の発現には必要なことが判明した。即ち、酵母の染色体上シクラーゼ遺伝子をCAP非結合型シクラーゼで置換すると、活性型ras遺伝子存在下でも異常な形質(熱ショック感受性、飢餓感受性)が消失し、全く正常な増殖パターンと細胞内cAMP濃度を示すことを発見した。更に、シクラーゼCAP結合部位のみを過剰発現して内在性シクラーゼからCAPを競合して引き離すことにより、同様の活性型rasの表現型の抑制がみられた。CAPの活性型Ras特異的作用の機構については現在解析中である。 2.CAP以外にシクラーゼ結合蛋白質p50を同定し、それがシクラーゼのRas蛋白質結合部位leucine-rich repeat領域に結合していることを発見した。p50を精製し部分的アミノ酸配列を決定した結果、リボゾーム大サブユニット構成蛋白質L3であることが確定した。L3蛋白質の機能は抗真菌剤トリコデルミン耐性に関与していること以外不明であるが、Ras-アデニル酸シクラーゼ系と蛋白質合成系の関連を示唆する事実として、L3とシクラーゼの結合の細胞増殖における意義を解析中である。
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