研究概要 |
血液幹細胞、前駆細胞の増殖・分化は、骨髄を始めとする造血組織の微小環境により調節をうけている。この造血微小環境が、どのような調節をしているかを解明するためには、樹立された間質細胞株によりin vitroで微小環境を構築し、これと血液幹細胞、前駆細胞の細胞間相互作用を、細胞レベル、分子レベルで研究をする必要がある。この目的のため我々は、マウスの造血組織である骨髄、脾臓、及び胎児肝臓より、造血支持能の異なる間質細胞株を多数樹立した。とくに胎児汗,脾臓など赤血球造血の盛んな組織の間質細胞株が、単層培養上で接着を介し選択的に赤血球造血を著しく促進させることを見出した。そして、この間質細胞の赤血球造血促進には、SL-c-kit,VLA4-VCAM1などの分子間相互作用が必要であることを明らかにした。また、我々は、骨髄より樹立した多数の間質細胞株の分化方向の異なる血液前駆細胞に対する作用を系統的に調べた結果、骨髄造血微小環境を構成する間質細胞は、分化方向の異なる血液前駆細胞の増殖と分化を選択的に促進する能力があることを明らかにした。さらにある種の間質細胞はセルソーターにより純化した血液幹細胞の長期維持能を持つことを示した。
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