• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1993 年度 実績報告書

チアゾリジン-2,4-ジカルボン酸を介する蓚酸生成経路の検討

研究課題

研究課題/領域番号 04454168
研究機関浜松医科大学

研究代表者

市山 新  浜松医科大学, 医学部, 教授 (90025601)

キーワード蓚酸 / グリオキシル酸 / チアゾリジンカルボン酸化合物 / ペルオキシソーム / グリコール酸オキシダーゼ / 乳酸デヒドロゲナーゼ / 蓚酸カルシウム結石 / 原発性高蓚酸尿症
研究概要

蓚酸は,動物では有害無益な代謝終産物とされており,過剰生産されると多くの組織への蓚酸カルシウム結晶の沈着のため重篤な状態を引き起こす。草食動物(ヒトを含む)では,蓚酸の直接の前駆体であるグリオキシル酸をその生産部位であるペルオキシソームにおいて除去する機構(SPT/AGTという酵素)を備えて蓚酸生成を抑制している。本研究では,動物において何故蓚酸が作られるに至ったかを理解するために,蓚酸生成機構を解明しようとした。主たるグリオキシル酸産生臓器である肝臓での蓚酸生成を研究対象とした。グリコール酸オキシダーゼ(GOD)がグリコール酸からグリオキシル酸へ,更に蓚酸へという連続した反応を触媒する可能性はほゞ完全に否定された。グリオキシル酸とシステインあるいはシステアミンの付加物(チアゾリジン化合物)を介する経路の関与については,たとえあるにしても主たるものではないことが示唆された。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)に関しては,単離ペルオキシソームに検出される活性は吸着LDHのものと結論された。しかし,その強い活性故に,サイトゾルに極く微量存在するグリオキシル酸が,同酵素によって触媒される乳酸・ピルビン酸間のシャトルにおいて基質の一つとなり,蓚酸に酸化される可能性が大となった。一方では,ペルオキシソームで生産されたグリオキシル酸がSPT/AGTの作用を逃れてサイトゾルに放出されるか否かとその速度を検討すると共に,多量の乳酸,ピルビン酸が存在する生体内でのLDHによるグリオキシル酸酸化を動力学的に解析するためのより単純な系を検索した。その結果,積極的に蓚酸を生産しているイネもみ細菌病菌(Pseudomonas glumae)の蓚酸を作らない,したがって病原性を持たない変異株が供給されたグリオキシル酸からは蓚酸を生産することを見出した。このPs.glumae変異株での蓚酸生成の動力学的研究の上で肝臓に戻って本研究を仕上げる予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (9件)

  • [文献書誌] Masayuki Mori: "A single serine:pyruvate aminotransferase gene on rat chromosome 9q34-q36." Genomics. 13. 686-689 (1992)

  • [文献書誌] Toshiaki Oda: "Characterization and sequence analysis of rat serine:pyruvate/alanine:glyoxylate aminotransferase gene." Genomics. 17. 59-65 (1993)

  • [文献書誌] Kozo Nishiyama: "ATP-Dependent degradation of a mutant serine:pyruvate/alanine:glyoxylate aminotransferase in a primary hyperotaluria type 1 case." The Journal of cell Biology. 123. 1237-1248 (1994)

  • [文献書誌] 市山新: "蓚酸代謝について" 第3回日本尿路結石症研究会記録集. 245-248 (1993)

  • [文献書誌] Chiharu Uchida: "Regulation by glucagon of serine:pyruvate/alanine:glyoxylate amino-transferase gene expression in cultured rat hepatocytes." The Journal of Biological Chemistry. 269(in press). (1994)

  • [文献書誌] 市山新: "SPT/AGTのミスターゲティングと高蓚酸尿症" BIOmedia. 7. 144-149 (1992)

  • [文献書誌] 市山新: "ペルオキシソームの転送異常:高蓚酸血症" 生体の科学. 44. 135-140 (1993)

  • [文献書誌] Arata Ichiyama: "Frontiers and New Horizons in Amino Acid Research(..Takai,ed.)(分担執筆:Glyoxylate Hetabolism in Peroxisomes)" Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam・London・New York・Tokyo, 5(423-427) (1992)

  • [文献書誌] 市山新: "ペルオキシソーム病ガイドブック(橋本隆,折居忠夫編)(分担執筆)" 厚生省特定疾患酵素障害調査研究班(印刷中), (1994)

URL: 

公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi