研究課題/領域番号 |
04454180
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
居石 克夫 九州大学, 医学部, 教授 (70108710)
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研究分担者 |
河野 真司 九州大学, 医学部, 助手 (20225379)
中川 和憲 九州大学, 医学部, 助手 (50217668)
中島 豊 九州大学, 医学部, 助教授 (50135349)
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キーワード | 血栓 / 動脈硬化 / 血管新生 / 内皮細胞 / マクロファージ / 組織因子 / IL-1 / IL-1レセプターアンタゴニスト |
研究概要 |
血液と血管壁相互反応は極めて動的である。各種血液因子と血管壁、血液細胞間の情報伝達機構がその基礎をなすが、本研究では血管内皮細胞の機能を中心に各種病態、特に血栓形成、動脈硬化の発生病態、さらに組織修復過程において重要な血管新生における内皮細胞の機能調節に関与する因子の解析を中心に研究を行い以下の結果を得た。 1.DICの発生病理における血管内皮細胞の機能:白色家兎におけるShwartzman反応時に見られる肝類洞内微小血栓の形成には、1)Kupffer細胞のLPSによる活性化と組織因子、IL-1(α、β)の発現が関与していること、2)同時にIL-1受容体アンタゴニストの発現によりそれらの機能発現が制御されていること、3)さらに血管内皮細胞自身も組織因子を発現し血栓準備状態の発生に関与していること、4)内皮細胞の組織因子発現は、腔側のみならず基底側にも認められ間質の凝固活性化機序には外因性凝固機転が重要であることが明らかにされた。今後、Shwartzman反応時に見られる凝固活性化の時間的経過とこれら因子の発現、機能制御、細胞の受容体を介する細胞間、細胞内情報伝達機序を解析し、新たな治療法の開発を思考したい。 2.血管新生の制御機構:in vitro血管新生モデルを用いて、フィブリンの血管新生促進機序を解析した。1)この促進機序には、内皮細胞の産生するbFGF機能の亢進を介した自己分泌が重要であること、2)RGD(S)配列がbFGFの機能発現とともに内皮細胞・フィブリン間相互の接着に関与していることを明らかにした。 3.動脈硬化発生における血管内皮細胞機能:ヒトならびにWHHLの動脈硬化巣内膜の向血栓性特性には、浸潤増生したマクロファージ、平滑筋細胞とともに血管内皮細胞の基底側に発現した組織因子の細胞表面、間質への蓄積が関与していることが示唆された。今後、組織因子と間質接着蛋白との相互反応、動脈硬化内膜の間質内での外因性凝固活性化の特異性について検討を進める。
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