研究課題/領域番号 |
04454185
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松沢 昭雄 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50012745)
|
研究分担者 |
渡辺 智正 愛知県心障者コロニー, 発達障害研究所, 室長 (10100174)
片桐 拓也 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70126100)
木村 幹男 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90114462)
|
キーワード | lpr^<cg>遺伝子 / gld遺伝子 / 自己免疫病 / MRLマウス / 腎炎 / 相補作用 / 全身性リンパ節腫脹 / ホーミング |
研究概要 |
CBA/Klマウスで発見した全身性リンパ節腫脹を起こす突然変異遺伝子lpr^<cg>は第19染色体上にあり、第1染色体上にある別の全身性リンパ節腫脹遺伝子gldと相補的に作用し、同疾患を誘発するという極めてユニークな特性をもつ。病理学的観点から見ると、CBA-lpr^<cg>で起こる腎炎、血管炎、関節リウマチなどの症状が従来MRL-lprで報告されている症状と比較して軽症であった。これは背景遺伝子の相違によるとの考えの下にlpr^<cg>遺伝子を戻し交配の反復によりMRLマウスへ導入し、MRL-lpr^<cg>コンジェニックマウスを作出した。背景遺伝子が90%以上MRL型になったこのマウスでは血清Ig、免疫複合体及び自己抗体レベルがMRL-lprと同程度またはそれ以上で、やや発生率が低いもののMRL-lprに匹敵する重症な腎炎が発症することが判明した。この結果はMRL背景遺伝子中にlpr^<cg>に誘発される腎炎を増悪する遺伝子が存在することを実証している。現在これらの遺伝子の同定を進めている。lpr^<cg>とgldの重要な表現型の相違として、lpr^<cg>に誘導された異常CD4^-,8^-T細胞は正常リンパ節にホーミングしないのに対してgldによる異常T細胞はホーミングすることを既に明らかにした。lpr^<cg>とgldの相補作用により誘発されるリンパ節腫脹がいずれかの表現型を示すかを(lpr^<cg>×gld)F_1マウスに我々が考案した方法により全リンパ節移植を実施し、その腫脹の有無から判定した。その結果、両遺伝子の相補作用により誘発される異常T細胞はlpr^<cg>/lpr^<cg>、lpr/lprとlpr^<cg>+gld/+の遺伝子型のリンパ節にホーミングしたが、+/+とgld/gldリンパ節にはホーミングせず萎縮を起こした。これはlpr^<cg>とgldとの相補作用による疾病はlpr^<cg>型であることを示している。分子生物学的成果に基づくと、相補作用によるリンパ節腫脹はリガンド不足の状態で起こると考えられ、gld型と予想されたが、これとは一見矛盾する結果で、今後の解析が必要である。
|