研究概要 |
日本産野生マウスに由来する近交系MOL-MITとCBA-lpr^<cg>の間で得られた亜種間交雑マウスのDNAをRFLP法により分析し、lpr^<cg>遺伝子を第19染色体上の20番地へマップし、染色体マッピングによってもlprと同遺伝子座の突然変異であることを証明した。 lpr^<cg>を導入したMRL-lpr^<cg>マウスではホモ接合状態では重篤な腎炎、血管炎や関節炎が起こるが、ヘテロ接合状態でもCD4^-,8^-,B220^+異常T細胞出現によるリンパ節腫脹を伴わずに過免疫グロブリン血症、抗核抗体、抗DNA抗体、免疫複合体の腎臓沈着などの自己免疫症状と腎炎や血管炎が起こった。これは自己免疫病を増悪する背景遺伝子がMRLに存在することを示している。 CASTIEiを用いて、種間交雑法により、これらの増悪遺伝子存在の可能性を追究し、MRLの第7及び12染色体上に存在することをつきとめた。当然これらの遺伝子はlpr^<cg>の腎炎も増悪すると考えられる。 骨髄移植とリンパ節移植の組合せにより、lpr^<cg>とgldの相補作用により誘導されるCD4^-,8^-,B220^+異常T細胞はlpr/lpr,lpr^<cg>/lpr^<cg>リンパ節にホーミングし、+/+,gld/gldリンパ節にホーミングしないことから、lpr表現型であることが判った。lpr/+リンパ節はこの異常T細胞のホーミングを許さず、lpr^<cg>/+リンパ節は許すことから、ヘテロ接合状態でリンパ節レベルでlprとlpr^<cg>の表現型が異なり、これは無機能Fasの発現によると考えられる。
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