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1992 年度 実績報告書

成人T細胞白血病ウイルスによる慢性関節炎発症機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 04454198
研究機関東京大学

研究代表者

岩倉 洋一郎  東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)

キーワードトランスジェニックマウス / 関節リウマチ / 関節炎 / Tax / 自己免疫疾患 / サイトカイン / 自己抗体 / 成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)
研究概要

私達は先に成人T細胞白血病ウイルスのenv-px領域を含むウイルス遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製し、これらのマウスが高頻度で慢性関節炎になることを示し、ヒトの慢性関節炎にこのウイルスが関与している可能性を示唆した。今年度は発症に関与している遺伝子の同定を試みると共に、発症機構について検討を加えた。
発症には転写促進因子であるTaxが関与している可能性が考えられたので、Taxのみを発現するトランスジェニックマウスを作製し、関節炎が発症するかどうかを検討した。5匹のトランスジェニックマウスを得、うち2匹が関節炎症状を示した。関節部位ではパンヌス形成を伴う軟骨、骨の破壊が起こっており、滑膜細胞の旺盛な増殖とリンパ球、好中球の浸潤が認められた。これらの所見は先に報告したトランスジェニックマウスの関節炎に非常によく似ており、tax遺伝子が関節炎を引き起こす原因となっていることが示された。
関節炎の発症機構を解明するため、関節局所におけるサイトカイン類の発現を検討したところ、IL-1α,IL-1β,IL-6,TNF-α,TGF-βなどの発現が、関節炎を発症するはるか以前から昂進していることがわかった。またこれらのサイトカインの一部は脾臓や胸線でも強く発現していた。Taxにより発現が誘導されたものと考えられる。次に血清学的な検討をおこなったところ、血中の免疫グロブリンの量が増加しており、免疫グロブリンや、DNA、p65熱ショック蛋白質、タイプIIコラーゲンなどに対する抗体価が上昇しており、自己免疫状態になっていることがわかった。今後関節局所でのサイトカインの異常発現と全身的な免疫異常がそれぞれ病態形成に於て果たす役割を明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Iwakura,Y.: "Induction of inflammatory arthropathy resembling rheumatoid arthritis in mice transgenic for HTLV-1." Proceedings of the fifth international conference on human retrovirology:HTLV. 0-28 (1992)

  • [文献書誌] Hayashi,T.: "RNA packaging signal of human immunodeficiency virus type I." Virology. 188. 590-599 (1992)

  • [文献書誌] Iwakura,Y.: "Human immunodeficiency virus type 1 induces cataract in transgenic mice." AIDS. 6. 1069-1075 (1992)

  • [文献書誌] Karaki,S.: "Lack of production of antibody specific for HLA-C antigens in HLA-B51 transgenic mice." Immunogenetics. 37. 139-142 (1993)

  • [文献書誌] Iwakura,Y.: "Transgenic mice carrying interferon genes." Mol.Reprod.Develop.,in press.

  • [文献書誌] Iwakura,Y.: "RNA Tumor Viruses" Cold Spring Harbor Laboratory (New York), 302 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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