研究課題/領域番号 |
04454199
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
白木 公康 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50135745)
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研究分担者 |
高原 照美 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (60240777)
落合 宏 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (30018692)
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キーワード | 水痘生ワクチン / リコンビナントウイルス / B型肝炎表面抗原 / 糖鎖修飾 / 粒子形成過程 |
研究概要 |
広く安全に使用されている水痘生ワクチンウイルスをベクターとしてB型肝炎ウイルス表面(HBs)抗原遺伝子を組み込んだB型肝炎予防のための新しいワクチン、リコンビナント水痘ワクチン株を樹立し、HBsの産生・修飾・分泌過程を糖代謝阻害剤・糖鎖分解酵素を用いて明らかにした。 リコンビナントウイルスにより発現されるHBs抗原は、26Kの蛋白として合成されN型高マンノース型糖鎖の付加された30Kの蛋白のとの間でジスルフィド結合による二量体を形成し、26K-26K、26K-30K、30K-30Kの3種の二量体を形成する。この後、ゴルジ装置で、この二量体のサブユニットのN型糖鎖は、複合型糖鎖へ変換され、両サブユニットにO型糖鎖の付加がなされる。さらに、両糖鎖末端にシアル酸の修飾が行われる。このようにして修飾された3種の二量体(30K-30K、30K-35K、35K-35K)は、HBs抗原粒子として細胞外へ分泌されることを明らかにした。 これらの糖代謝阻害剤によるHBs抗原の修飾過程と通常・免疫電子顕微鏡観察による形態学的な観察結果を対応させることにより、HBs抗原のリボゾームでの産生から粒子形成・分泌過程の全経過を明らかにした。HBs抗原は、リボゾームで合成されてN型糖鎖の付加を受けて、26Kと30K間の二量体のまま細胞質内空胞内へHBs抗原粒子として分泌される。そして、空胞内HBs抗原は、空胞がゴルジ装置を通過する間にさらに糖鎖の修飾を受けて、空胞が細胞質膜と融合することにより、空胞内の糖鎖修飾を終えたHBs抗原粒子として、細胞内へ分泌される。 このように、HBs抗原への糖鎖付加過程を明らかにして、その結果に基づきHBs抗原の生化学的マーカーと対応させて、いままで明らかにされていなかったHBs抗原粒子の形成過程が明らかにできた。
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