研究概要 |
まず最初に、パラミクソウイルスの最長の遺伝子であるL遺伝子の塩基配列を決めた。これにより、NP,P遺伝子とともに、replication complex、を構成する全因子の配列がわかり、感染性cDNA作製の一歩を踏み出した。続いて、PIV-2のP遺伝子とムンプスウイルスNP遺伝子の一部を結合した人工遺伝子を作製し、そのRNA転写物をPIV-2感染細胞にトランスフェクトし、その蛋白の合成を確立し、この系を用いてRNA-editing機構の解析を行った。HeLa細胞にPIV-2を約m.o.i.5で感染させ、そのPIV-2感染HeLa細胞をヘルパー細胞として用い、RNA転写物をトランスフェクトし、その産物を検出しようとした。このヘルパーウイルス系を用いる方法では、他の細胞系でも行ってみたがいずれの組み合わせでも発現効率は低く、蛍光抗体法で約10000個に1個程度の細胞にしかその産物が検出できなかった。ワクチニアウイルスのDNAにT7ポリメラーゼ遺伝子の組み込まれたリコビナントワクチニヤウイルス(以下単にワクチニヤウイルスと記載する)とbluescript vector内にPIV-2の各ポリメラーゼユニット(NP,P,L)を組み込んだコンストラクトを用いて以下の様な発現系を確立した。HeLa細胞にワクチニアウイルスを約m.o.i.2で感染させ、1時間後に各ポリメラーゼユニット(NP,P,L)を組み込んだコンストラクトとPIV-2-P(MuV-NP)コンストラクトをリポフェクチン法を用いてトランスフェクトした。5-10時間後に10%FCSを含むDMEMを添加し、更に24時間培養後,cell-lysateを作製し、ウエスタンブロット法および蛍光抗体法により解析を行った。このシステムを用いて初めて、再現性良く高効率でRNAレプリコン活性を発現できるようになった。今後この系と完全長クローンを用いて、cDNAから感染性ウイルスを作製する系を完成されるつもりである。
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