研究概要 |
A/England/80(HINI)ウイルスに対するマウス単一抗体産生細胞5株よりH鎖及びL鎖cDNAをそれぞれを認識する特異的プライマーを合成し、そのプライマーを用いて作成した。DNAの塩基配列を決定し、得られたcDNAから作成される蛋白質は既存のIgG鎖アミノ酸と比較し正常なものとみなされた。単一抗体mAb15とmAb21は同一エピトープを認識すると思われるが、アミノ酸配列は大きく異なっていた。またmAb21のH鎖はインフルエンザウイルスとは全く関係のない既知の抗体としアミノ酸しか異ならなかった。またmAb96のH鎖は既知の抗体には見つかっていない20アミノ酸の欠損が認められた。これらの抗体cDNAを動物細胞での発現ベクターpME18Sに挿入した組換えDNAはcos細胞において抗体を産生し、螢光抗体法によって発現が確かめられた。このcDNAをバクテリアの発現ベクターBluescript,λgtll、ptrcに挿入し、JM103、HB101、XL1-Blue細胞等で発現を試みたが、これらの系では蛋白質が不定であり、有効な産生が得られていない。現在、融合蛋白としての抗体又は蛋白質分解酵素の少ない大腸菌株を用いて抗体の安定的生産の開発にとりくんでいる。
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