ラットの主要組織適合抗原クラスII遺伝子RT1.Hはヒト主要組織適合抗原クラスIIのDPに相当すると考えられているが、これまではRFLP解析によってその存在が示唆されているにすぎず、活性を持つ遺伝子か否かは不明である。またLEC(RT1.H^u)とALB(RT1.H^b)ではHβおよびHαのRFLPが異なり、LEJではHβとHαの間で組み替えを起こしていることが知られている。まずLECのゲノムライブラリーを作成した。そこからヒトのDPβプローブを用いてHβを含むと思われるファージクローンを拾い、それらの制限酵素地図がゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーションのDPβ特異的バンドと一致することを確認した。これらのクローンの部分的塩基配列を決定しHβ_1ドメインの構造がヒトのDPβ_1と高いホモロジーを有することを見い出した。 これまでに、LECのHβ全体の塩基配列を決定するためのクローンは精製を終え、全塩基配列を決定中である。他方、LECのHβのうちで繰り返し配列のない断片を選びだし、それをプローブにしてLEJとALBのライブラリーをスクリーニングし、得られたクローンを解析中である。Hαについては、研究は遅れており、DPαプローブで3つのライブラリーをスクリーニングしているところであるが、いずれのライブラリー得られたクローンもHαに相当するものはいまのところ見当たらない。さらにスクリーニングをつづける。この研究を開始したのが多少遅れたために本年度中に論文をまとめることはできなかった。
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