研究概要 |
I.クラスImutantアロ抗原と異なりconventiona1クラスI-disparateな組合せでは(a)CD8^+CTL,(b)CD8^+Th,(c)CD4^+CTL-Th,(d)CD4^+effector/inducerの4つの機能的に異なるT細胞集団が作動することを証明した。個々のサブセットの役割及び性状を次の如く明らかにした。(a)CD8^+CTLpは抗原刺激とヘルパーT細胞の存在下にいわゆるキラーT細胞へと分化して拒絶反応を引き起こす細胞で、移植抗原の静脈内投与によってはこの集団を除去できない。(b)CD8^+ThはアロクラスI抗原を認識し1L-2産生を介してそれ自身増殖反応を惹起する細胞で、CTLpを分化誘導してCTL反応をヘルプする能力を持つ。(c)一方、CD4^+T細胞中のCD4^+CTL-Thは同じくCD8^+CTLを活性化してCTL誘導のヘルパー細胞として働くが、CD8^+Thの場合と異なり1L-2産生能や自分自身の増殖能力に乏しい。しかもこの細胞の活性はアロ抗原の静脈内移入によっても抑制されない。(d)更にCD4^+T細胞分画中には、いわゆるCTL誘導とは無関係に抗クラスI拒絶反応を惹起し得る細胞が存在する事が示された。このいわばCD4^+effector/inducerT細胞とでも呼ぶべき細胞は、やはりlL-2産生を介して自分自身が増殖応答する細胞で、CD8^+T細胞の非存在下に強い拒絶反応を引き起こす能力を有す。またこの細胞の活性はアロ抗原の静脈内移入で抑制することが可能である。 II.conventional class 1-disparateな組合せではCD4^+ヘルパーとCD8^+ヘルパーの両者が作動するがこのうちCD4^+CTL-Thはアロ脾細胞と静脈内移入によって免疫寛容に陥らない。そこでこのようなヘルパーの活性化を抑制する為、suboptimal doseのFK506を用いた。その結果、アロ抗原静脈内移入による寛容誘導に最も抵抗性のCD4^+ヘルパーがFK506に最も感受性が高いこと、従って[アロ細胞の静脈内移入+薬物]の併用処置が拒絶反応を効果よく抑制することが明らかとなった。
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