研究課題/領域番号 |
04454218
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
友国 勝磨 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40032891)
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研究分担者 |
市場 正良 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60184628)
平井 幸雄 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (90156638)
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キーワード | 鉛作業者 / チミン代謝 / 尿中beta-アミノイソ酪酸 / ポルフィリン代謝 / 血漿中delta-アミノレグリン酸 / 血液中鉛 / バイオロジカルモニタリング |
研究概要 |
DNAの構成成分であるチミンは生体内で代謝分解され、最終的にはbeta-アミノイソ酪酸(AIBA)として尿中に排泄されることが知られている。従って尿中AIBA排泄量の変動を調べる事により、チミン代謝への影響を間接的に把握することが可能である。そこで、本研究では先ず、比較的暴露の高いと思われる鉛作業者から、検診機関の協力を得て生体試料(尿、血液)を収集し、尿中AIBA排泄量と、鉛暴露の指標として有用な血液中鉛量との関連を解析した。尿中AIBAの分析は、本研究において開発した蛍光HPLC法を用いて行った。その結果、鉛作業者における尿中AIBA排泄量と暴露量推定の有用な指標である血液中鉛量との間には有意な正の相関が認められた。このことは、鉛暴露が生体内チミン代謝に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆する。しかしながら、尿中AIBA排泄量が鉛による健康影響の評価指標として、従来の指標よりも特に優れていると言う結論を得るには至らなかった。 次に、従来から鉛暴露による健康影響の評価指標として用いられてきたポルフィリン関連物質の測定項目に、新たに血液、特に血漿中のdelta-アミノレブリン酸(ALA)を加える場合の意義及び妥当性について検討した。即ち、わが国における鉛検診では、鉛中毒予防規則により尿中ALAの測定が義務づけられているが、濃度補正等の問題があるため、むしろ血液中のALA測定の方が望ましいのではないかと言う意見がある。そこで、これらの点に関して検討した結果、最近、少量のサンプルを用いて測定可能な蛍光HPLC法がわが国において開発された事により、血漿中ALAの測定は、鉛による健康影響の新しい評価指標として有用であり、その測定意義は十分にある事が示された。
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