研究課題/領域番号 |
04454219
|
研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
三森 文行 国立環境研究所, 環境健康部, 室長 (90125229)
|
研究分担者 |
中野 篤浩 国立水俣病研究センター, 基礎研究部, 部長 (20041329)
鈴木 明 国立環境研究所, 環境健康部, 主任研究員 (20124349)
鈴木 継美 国立環境研究所, 所長 (80009894)
|
キーワード | NMR / メチル水銀 / 脳 / エネルギー代謝 / ATP / クレアチンリン酸 |
研究概要 |
平成6年度には、1.これまでにメチル水銀中毒脳において^<31>P NMR分光法により得られたリン酸化代謝物の動態から、中毒脳の酸化的リン酸化機能を定量的に評価する試み、2.さらにリン酸化されていない代謝物についてもin vivo脳での観測をめざして^1H NMR測定法の開発を行った。1.脳内の酸化的リン酸化反応系が遊離ミトコンドリアの同様にADP濃度制御を受けるMichaelis-Menten型の反応であるとすると、この反応系の実際のATP生成速度とその最大反応速度の比はV/Vmax=1(1+Km/[ADP])と表される(KmはMichaelis定数、ここでは20μMを仮定)。脳内のクレアチンキナーゼ反応の平衡定数Kを用いて[ADP]=[ATP][Cr]/[PCr][H^+]K([Cr]はクレアチン濃度)を上式に代入するとV/Vmax=1/(1+KKm[PCr][H^+]/[Cr][ATP])となる。ここで[Cr]以外は^<31>P NMRで測定可能である。酵素法によりラット脳内の全クレアチン量を定量すると中毒脳、正常脳で9.74±0.46(n=5)、9.41±0.37μmol・g^<-1>(n=5)と差がなかった。上記の式により中毒脳、正常脳でのV/Vmaxを0.542、0.449と算出した。さらにATP代謝回転速度の実測値を用いてそれぞれのVmax0.408、0.478 μmol・g^<-1>・s^<-1>を得た。メチル水銀中毒脳では酸化的リン酸化反応の容量が約15%低下していると評価できる。この定式化により、本研究で当初目的とした、メチル水銀中毒ラット脳でのエネルギー代謝機能の定量評価が実現できた。2.プロトンスピンの半選択励起を可能とする11パルス、1331パルスを用いたスピンエコー測定法を採用することにより妨害信号となる水の巨大な共鳴線を抑制して、ラット脳内のN-アセチルアスパラギン酸、乳酸、クレアチン、コリン等の観測を可能とする測定法を作成した。
|