本研究では異なる食文化からわが国へ勉学のために来日した留学生たちが、母国の食生活から日本的食生活へと適応することができるかについて、すでに何年かをわが国で過ごした留学生による回顧的研究を基礎に、来日した留学生についいて追跡調査を実施し、健康に関する広い視野から食生活への適応について考察し、今後の留学生の具体的な生活指導に資することを目的としている。 今年度は第2年度に入り、従来の予備的面接調査で用いた食生活と健康状態についての質問紙を用いて追跡的な調査を開始した。対象は32名の外国人留学生で、台湾6名、中国4名、韓国3名、マレーシア2名、ペルー1名、アメリカ1名である。男21名、女11名である。 これらの留学生に対して本国における食生活と健康状態について調査し、あわせて来日直後の状況について調査をおこなった。現在、これらの対象について定期的に食生活調査を行い食事の変化について継続的に追跡をおこなっている。対象数は少ないが、次年度にはこれを継続することにより日本的な食生活への適応過程を実証的に明らかにすることが期待できる。 今回の対象には宗教的に食物禁忌があるような留学生を加えることができなかったが、次年度以降、今年と同様の方法論によって、イスラム社会の出身者の協力を得ることも考慮している。
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