研究課題/領域番号 |
04454231
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
長谷場 健 日本医科大学, 医学部, 講師 (50156329)
|
研究分担者 |
平井 幸彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (10089617)
黒須 三惠 日本医科大学, 医学部, 講師 (70103984)
|
キーワード | マウス / アルコール脱水素酵素 / Class I / Class III / 溶液疎水性 / 活性調節 / アルコール代謝 / 細胞内疎水性 |
研究概要 |
(1)血中レベルのエタノール(EtOH)濃度(15〜100mM)に対するマウス肝acidic alcohol dehydrogenase(Class III ADH)のin vitroでの酸化能は、アルコール(Alc)代謝の鍵酵素とされるbasic ADH(Class I)の10〜42%であった。 (2)Acidic ADHは、肝実質細胞より類洞内皮細胞に多く分布することがわかった。一方、basic ADHは肝実質細胞の細胞質に局在していた。また、肝の細胞内溶液は高い疎水状態にあることが疎水性プローブを用いて示された。さらに、類洞壁細胞の疎水状態が実質細胞により高いことが示された。従って、細胞内のacidic ADHのEtOH酸化活性は細胞内疎水性効果によりin vitroに比べて高まっていることが示唆された。一方、basic ADHの細胞内活性は逆に、in vitroに比べ抑制されていることが示唆された。 (3)正常ADH^+種に比べ50%以上のAlc代謝能を有するいわゆる“ADH欠損"(ADH^-)deermouse肝において、遺伝的に欠損しているADHはClass I ADHであり、Class III ADHは存在することがわかった。 (4)3g/kg EtOH投与マウスのin vivo Alc代謝において、basic ADHは約50%、catalaseは約20%寄与していることが、それぞれの特異的阻害剤capronamide及びaminotriazole投与下でのAlc代謝の抑制率を検討することによって推定された。総ALc代謝は、Class I ADHのみならずClass III ADH並びにcatalase系も阻害する4-methylpyrazoleの投与によって、ほぼ完全に抑制された。従って、in vitroでの結果と考え合わせて,basic ADH及びcatalaseのいずれにも依存しない残りの約30%のAlc代謝はacidic ADH(Class III)の寄与によることが示唆された。
|