研究課題/領域番号 |
04454233
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
成内 秀雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012741)
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研究分担者 |
善本 隆之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80202406)
加藤 琢磨 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60224515)
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キーワード | 炎症 / サイトカイン / 腫瘍壊死因子 / インターフェロン / Tヘルパー細胞亜集団 |
研究概要 |
本研究の目的は炎症反応における各種サイトカインの関与を明らかにし、この結果を炎症の治療に応用する方策をさぐる事にある。実験はいくつかに分けられる。まず、細菌内毒素による関節炎モデル実験ではTNFおよびIL-1に対する抗体によって炎症反応の著しい低下が見られ、TNFとIL-1の投与によって内毒素なしに内毒素投与時と同様の炎症がおこることが分かり、これら二つのサイトカインが炎症反応の成立に必須の因子である事が分かった。これらサイトカイン相互の活性上の関係、時間的順序などについては現在検討中で結論は出ていない。TNFの産生誘導はT細胞が産生するインターフェロン(IFN)によって誘導されることが肝炎モデルによって明らかになった。炎症に付随する発熱においてもIFNは重要な役割を果たしており、内因性発熱因子でもあるTNFの産生を誘導して発熱増強効果をもたらすことが分かった。このようにT細胞が産生するIFNが炎症、発熱を制御している事からT細胞亜集団の活性化に注目し、T細胞亜集団Th1、Th2の活性化を制御する第二シグナル因子を解析したところ、これらの亜集団は異なるサイトカインを第二シグナルとして用いていること、Th1はIL-12,Th2はIL-1を用いていることが明らかになった。これらの第二シグナルは各々対応するT細胞亜集団のIL-2受容体発現を制御すると同時にIL-12はT細胞のIFN産生を増強する作用を持つ。Th1はIFNを産生する細胞であることを考えると炎症におけるサイトカインカスケードはつぎのようになっていることが分かった。抗原提供細から分泌されるIL-12がT細胞のIFN産生を促し、IFNがTNF産生を増強する。このTNFがIL-1と共同して炎症反応、発熱を促す。したがって、炎症の治療としては炎症以外の反応を考慮してこのカスケードを上記のいずれかの部位で切る事を考えることになる。
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