研究概要 |
〔1〕FHのLDLレセプター(LDL-R)遺伝子異常: ホモFH患者18家系20例とヘテロFH患者200例のDNAをPCR-SSCP法、direct sequencing法を導入し、新たなLDL-R遺伝子変異について点変異について検討した。 1)FH-Tsuruga;FH-Tsurugaはエクソン6のGからTへの点変異により280番のAspがTyrに変異していた。この変異はTrue homozygote3例とヘテロ接合体6例が確認された。 2)FH-Kanazawa-2;FH-Kanazawa-2はエクソン14のCからTへの点変異により664番のProがLeuに変異していた。同一の変異が欧米でも見いだされ、FH-Gujeratと命名されているが、ハプロタイプのパターンは異なっており、本例を新たな変異としてFH-Kanazawa-2と命名した。 3)FH-Morioka;FH-Moriokaはエクソン9のCからTへの点変異により395番のArgがTrpに変異したものであった。FH-Moriokaのtrue homozygotesを示す2例は現在69歳、72歳とホモFH患者としては長寿であった。 FH-Tonami-1,FH-Tonami-2,FH-Kanazawa-2のFH全体における頻度はそれぞれ5.0%、5.5%、3.0%と高かった。 〔2〕CETP遺伝子異常症: PCR-SSCP法にて、CETP遺伝子の新たな2変異を発見した。従来のエクソン14とイントロン14の接合部のG→A点変異に加えて、2番目の変異はイントロン14の接合部(+3)にTの挿入があり、スプライシング異常をきたすが、この変異は極めてまれで、1例しか発見されていない。3番目の変異はエクソン15の442番目のアウパラギン酸からグリシンへの点変異で、60家系でホモ4例、ヘテロ84例が発見され、一般人における頻度は約10%であった。
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