研究課題/領域番号 |
04454240
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 研司 東京大学, 医学部(病), 講師 (80101088)
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研究分担者 |
富谷 智明 東京大学, 医学部(病), 医員 (90227637)
名越 澄子 東京大学, 医学部(病), 医員
平田 啓一 東京大学, 医学部(病), 助手 (50199064)
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キーワード | 肝細胞膜 / 肝細胞増殖因子 / 肝再生 / 劇症肝炎 |
研究概要 |
1精製 因子の肝細胞膜からの抽出法として、細菌性コラゲナーゼや界面活性剤などにより、これを可溶化することに成功したが、前者では抽出効率が低いこと、後者では、カラム操作や透析を行なう過程で活性の損失が大きく、何れの方法によっても精製が困難であった。そのため、他の可溶化法を検討した結果、ある有機溶媒による活性の抽出に成功した。現在、この因子の各種カラムへの付着性を検討中である。 2因子の作用点、及び肝再生における意義、肝再生不全の病態の検討 本因子を含む分画が肝細胞内のputrescine(PUT)を増量させることを見出した。既報のようにPUTは、肝細胞増殖に必須なポリアミンであることから、本因子の作用は肝細胞内PUTを介するものと推定した。正常或いは、70%部分肝切除後ラットに肝細胞増殖因子(HGF)や上皮成長因子を投与すると肝組織中PUT量が増加し、その後に肝DNA合成、肝重量が増加することを認め、両因子は肝再生の促進因子ばかりでなく、開始因子としても作用することを明らかにした。更に、PUTはcomitogenとして肝細胞増殖を促進することをin vivo及びin vitroの双方で証明した。また、本因子を含む分画及びPUTには、培養肝細胞の障害軽減作用もあることを明らかにした。本因子が肝再生過程や肝障害時に枯渇することから、この減少が劇症肝炎予後不良例における肝再生不全の原因になりうると想定しているが、この病態の確実な存在を証明するには未だ至っていない。肝再生の指標として、transforming growth factor-α(TGF-α)に注目し、ヒトTGP-αの簡便なELISA測定系を確立した。血中TGF-α値は肝切除術後患者の肝切除量及び残存肝増加率、急性肝炎患者では障害の程度に応じて上昇しており、TGF-αは肝再生の指標と考えられた。一方、劇症肝炎では逆に低下する傾向にあり、臨床例においても肝再生不全状態が存在すると推定された。血中HGF値については、肝機能低下、壊死及び炎症の程度を反映していたが、肝再生との関連は認められなかった。
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