研究課題/領域番号 |
04454243
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 紀夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00144478)
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研究分担者 |
三田 英治 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
竹原 徹郎 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
片山 和宏 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
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キーワード | HGF / c-met / HCC / apoptosis / bcl-2 / Fas抗原 / HCV |
研究概要 |
1)HGFのレセプターであるc-met遺伝子の発現動態を検討した。ラットの四塩化炭素障害による肝再生モデルでは、c-met遺伝子の発現は6時間後に増強後減弱し、再度増強を示した。このことよりHGFレセプターは肝再生においてDNA合成の亢進に先立って細胞サイクルの回転を制御するのに重要な役割を果たすと考えられた。またhumanの原発性肝癌においてはc-metはmRNA・蛋白ともに癌部において発現が増強しており、c-metは原発性肝癌の増殖に関与している可能性が示唆された。 2)apoptosisを抑制する作用を持つBcl-2蛋白の発現を原発性肝癌において免疫組織学的に検討した。Bcl-2蛋白は約7割の症例において癌部の細胞質に発現が認められた。非癌部にも発現が認められたが、陽性細胞は少数であった。HCCにおけるBcl-2蛋白発現増強は、腫瘍の増殖に作用するのではなく、apoptosisからの回避によって腫瘍細胞に有利に作用している可能性が示唆された。また、細胞をapoptosisに導くFas抗原の肝組織における発現動態に関し免疫組織学的に検討した。慢性活動性肝炎におけるFas抗原の発現は慢性非活動性肝炎に比し高率であり、またFas抗原の発現領域では炎症像が強く、HCV感染肝における肝細胞障害や炎症の活動性にFas抗原の発現が関与しているものと考えられた。 3)蔗糖密度勾配法を用い流血中のHCV粒子の性状を検討した。C型慢性肝疾患患者の血中HCV粒子は低濃度のvirionと高濃度の免疫複合体もしくはnucleocapsidの2分画に分けられ、肝病変の進展・発癌に伴い血中ウイルス存在形態の中心はvirionから免疫複合体もしくはnucleocapsidへと変化すると考えられた。
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