C型肝炎ウイルス(HCV)には、subtypeが存在することが知られている。岡本らは、Cove領域にprimerを設定し、HCVをI、II、III、IVの4型に分類した。まず、C型慢性肝炎の進展とHCV-RNAsubtype間の関連について検討した。2回以上肝生検を実施し、通常の慢性肝炎(FN)から亜小葉性肝壊死を伴う慢性肝炎(SN)に進展した6例、FNからFNであった非進展例6例においてHCV-RNAsubtypeを測定した。平均年齢(歳)は、進展例39.3±12.2、非進展例29.2±5.1、観察期間(年)は、進展例5.5±2.9year、非進展4.8±3.5であり、進展例と非進展例間に有意差を認めなかった。HCV-RNAsubtypeは、進展例6例のうち、II型4例、III型2例、非進展例6例のうち、II型2例、III型4例であり、subtype間に有意差を認めなかった。Core領域のPrimerを用いたHCV-RNAsubtypeの型分類では、進展例、非進展例間に有意差を認めなかったため、2カ所の高可変領域(HVR1およびHVR2)を含むNon-structual region 1(NS1)のシークエンスを行うこととした。進展例3例、非進展例3例について生検時2pointの血清1mlよりguanidinium thiocynate法を用いHCV-RNAを抽出し、逆転写後、2step polymerase Chain Reaction(PCR)法を行った。First PCRは、sense primer5'-GTGGGGATCCGGGCTAAGGT-3'、anti sense primer5'-ACAGAGCTCGGAGTGAGCA-3'、second PCRは、sense primer5'-CTACTCCGGATCCCACAAGC-3'、anti sense primer5'-AGCACGTCTGTCTCATTCTC-3'を用いた。エチヂウム ブロマイド染色後、電気泳動し462bpのバンドを検出した。今後同バンドを切り出しDNAを抽出しDirect sequencing法でシークエンスを実施する。十分データーがでそろった時点で進展例、非進展例、両者間の比較を行い、C型慢性肝炎の進展にHCV-RNAの変異がどのように関与しているか解明する予定である。
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